繁忙期
帰るとすでに次男夫婦は居なかった。
「宅配会社だから、この時期は忙しいねん。
それに暑くなったから余計に皆なんでも宅配に任すやろ?」と言って帰ってしまった。
東大阪なので奈良から近いのだ。1時間くらいの距離なのだ。
「まあ、こんな大きな男の子2人だから心配もないわよね〜」と母がため息をつく。
織子の母も東京でのんびり休みたいのだろう。
せっかくの仕事休みなのだ。
「あっ、私来年から田舎来ないから。高校3年なるし夏期講習行くよ〜良いよね?お母さん?」と冴子が早めに頼んでいる。
「あら?じゃあ、私も来なくても良いわよね〜?お父さん?」とお母さんが笑顔になる。
「あれ?貴和子姉さんは?」雅紀おじさんが姉を探してる。
「ああ、彼女は打ち合わせが入ったので大阪寄りの駅まで出ましたよ。下戸なんで置いていかれました。今夜は帰って来れるかどうか〜」と税理士兼副社長の旦那さんが苦笑した。
相手方の実家に残されるのはシンドいだろう。
まあ、そういうの気が回りそうな叔母ではないが。
金も誰彼なしにばら撒いてたし。
良い意味で関西人だ。
「あーーーっ!すいませんね〜姉さん、昔からデリカシー無いから。
モテないのは顔のせいだと言い訳してたけど、気が回ればモテるブスなんて沢山居るんですよ。」雅紀おじさんは、貴和子さんに辛辣なようだ。
「まあまあ、そんなあ〜おかげで唯一OKした僕を大事にしてくれてます。
種なしだって分かっても子供産めなくても一緒に居たいと言ってくれてるし。」と否定はしないが惚気てる。
「おおっ、お熱いですね〜いつまでも。
良ければ男同士で飲みませんか?」と父が祖母と母が作ってくれた夕飯の後貴和子さんの旦那さんを誘っている。
「ハア〜、男は気楽で良いわね〜
私だって休みぐらい家でのんびりしたいのに!」祖母の手伝いを冴子に頼んで、やっと母も座る事ができた。
「母さんお疲れ〜。ここじゃ、客なんだから座ってれば良いのに?自分から動いて、なんで疲れてるの?」織子はこんな娘なのだ。
「チッ!だから、アンタはダメなのよ〜
冴子は察して助け舟だしてくれたのに!アンタも動きなさいよ!」座って持ってきた温かいお茶をすする。
「双子はずっとテレビゲームしてるのに、なんで女の子は動かなきゃいけないのよ?
母さんや冴子みたいな人が居るから、いつまでも悪習が無くならないんじゃない?
察して動くなんて!ただの見栄っ張りだよ。
双子やお父さん達みたいに悪口言われながら遊べば良いんだよ〜」と織子は双子達のゲームを横で寝そべって見てる。
「本当に!アンタって子は!
お祖母さん、もう膝が痛くて立ち座りがキツイんだよ?助けてあげないとダメでしょ?
でも、それを自分から言う人でもないし〜お祖母さん1人で頑張るから〜」と母が織子と話してイライラしてる。
「まずは手伝うのは、新聞読んでシカトしてるじーちゃんでしょ?それか息子達か?
母さんや冴子は客なんだよ?
ここに住んでるのは、じーちゃんとお祖母ちゃんでしょ?昔暮らしてたのはお父さんと叔父さんでしょ?」と寝そべったまま話すので居間に居る男性陣がソワソワしてる。
「あ〜ッ、寝そべって偉そうに!
何もしない奴ほど弁が立つのよ!
まず動いてから、口は動かせ!っていつも言ってるでしょ?
会社でも新卒の子が口ばっかり動かして身体使わないから、まずそこから性根を叩き直すように担当者にいつも注意してるのよ!」とバンとテーブルを叩いた。




