探検
「なあ、最後の夏休みだし、あの森に入ってみいへん?」と双子の雅がボロボロに風化したロープの奥を指さす。
「そやな。ずっと気になってたけどおじいちゃんおばちゃんが悲しむとか思って入らなかったけど。
最後に4人も居るし入ってみるか?」バレーやってて180cmもある都が先頭を切る。
確かにこれだけ大きな強そうな男子2人となら大丈夫か?
中学生にはとてもじゃないが見えない。
「ええ〜ッ、良いのかなあ〜?どうする?お姉ちゃん?」と言いながら、すでに冴子は2人の後を地蔵の社を通り越して森への野道を歩いてる。
「…う〜ん、そうだね。私にソックリな人が亡くなった場所ってのは気持ち悪いけど…」と言いながら織子も3人の後を付いていく。
何だろう、不思議な引力を感じる。
少しこんもりとした丘が全て木々に覆われている。
実は田舎は関西の奈良だ。だが皆が思う大仏とかある奈良からは遠い。
どちらかと言うと大きな山はあるが、大阪の方が近い田舎なのだ。
奈良は田んぼや畑の間にこういうこんもりした丘が所々ある。
特に古墳とか言われていないが、だいたい昔からそこだけ森を残すのは、耕した時に見てはいけないものがあったからだ…昔に。
引き継いだ子孫たちも察して、新たに開拓しないのだ。ご先祖様がその丘の下に見たんだろうなと。
恐ろしい話だが、所有地に古墳が見つかると埋蔵文化財として書類の束を書き使用制限を設けられ不法侵入などに対する警告警備も全て自費負担となる。
すでに4万個の古墳が私有地で発見されているのだ…
なので奈良県人は京都人より口が堅い。
土地の話は滅多にしない。
最近も法隆寺の観光バス駐車場のロータリーの真ん中の植え込みが…古墳だった。きっと昭和初期くらいに駐車場を造る時にヤバい!と思った工事関係者が植え込みにしたのだろう。
もし、古墳だとバレると工事はキャンセルされてしまう!仕事がパーになるのだ。
そんな訳で子供達は長らく18年間禁足地となってた森に入り込んだ。
「もっと鬱蒼としてると思ったのに…意外と開けてる…」冴子が少し警戒するように呟いた。
「外から見たら森やのに、なんか神聖な儀式の場所みたいに開けてないか?ココだけ?」とその広場のような開けた場所を双子が同時に指さす。
2人は一卵性なので、顔はソックリなのだ。
なのに体格は都は色白で、ひょろ高く。雅は浅黒くガッシリしてる。
その2人が円形の広場のようなその草原に立つと…そこには平たい石が、まるで天然の椅子みたいにあった。
「あっ、これ…血痕ちゃうか?」ベンチみたいな石に黒いシミがあるのを双子が目ざとく見つけた。
「やだあ〜ココが殺された現場って事?で、石に血が染み込んだの?」冴子が怖がる。
「………」織子は、全く知らない場所なのに妙に馴染む空気感がある。
「なんで、こんなに日当たり良いのに木が全く生えないんだろね?この石の周りだけ?」と辺りを見回す。
「う〜ん、もしかしてやけど…この石、地下では相当大きいとちゃうか?だから、木が根が張れない?」とアホそうに見えて雅が予想する。
「スゴい!雅、頭良い〜昔から頭良いもんね。」と冴子が褒める。
「?」どうも冴子は雅が好きな気がする。
ニつ下なので、確かに年は近いが。
「チェッ、昔から冴子は雅 贔屓やねん!織子ちゃんは、不公平やと思わへん?同じ顔やのになあ?」と都が文句を言う。
父が何を思ったか?曾祖母の実家の墓のそばに家買ったせいか?
私の部屋には、知らないおじさんやおばさんが毎晩足元でボソボソ話してて金縛りあうし!墓の方向に私の部屋だけダイレクトで。
うるさかった記憶が!とにかくずっと居心地悪かったあ〜
あまりにうるさいので隣の妹の部屋に寝に行った。
妹の部屋はなぜか納戸が墓の方向にあるからうるさくない。
私が家出たあと土砂崩れで大変な目にあったらしい。
もしかして、知らせに来てくれたのか?
しかし、足元でボソボソ話すのは辞めて欲しかったなあ〜枕元はもっと嫌だけど。




