お小遣い
叔父さんのワゴンから各家族の部屋に布団を運び終わると貴和子オバさんがポチ袋を1人づつ渡してきた。
「お疲れ様〜ご飯はお兄さん夫婦が用意してくれたし
お酒は次男夫婦が用意してくれたし、雅紀は皆を銭湯運んだり布団借りてきてくれたし、
ウチは何もしてないからね〜
せめて子供達にお小遣いあげないとね〜」と言いながら用意してたのか1人1人に渡していく。
「織子ちゃんには多めにしたからね。」と貴和子さんの旦那さんが耳元で囁く。
「エ〜ッ、どうしてですか?1番年長だけど妹と1つしか違いませんよ?」織子は大きな声で聞き返す。
「いやいや、初めてだからね〜特別だよ。」貴和子叔母さんの旦那さんは周りを見て少し慌てたように言い返す。
「2人で決めたのよ。織子ちゃんは特別な。」貴和子叔母さんが豪快に笑う。
叔母さんは大きな顔に小さな頃からスゴいコンプレックスがあったそうで、メイクの力で小顔に見せる研究をずっとしてて美容研究家として有名になったそうだ。
税理士をやってた旦那さんと出会って美容化粧品のアピール会社を立ち上げて、今では関西のCMまで顔が売れてるらしい。
織子達関東組は知らないが、すごく儲かってるそうだ。
「エエーーーッ!なんで〜?ズルくない?」次男家の双子中学生が口を尖らせる。
「アンタ達と冴子ちゃんには会う度にずっとあげてるやん?織子ちゃんには1回もお小遣いあげたこと無いねんよ?分かる?」と叔母さんが笑って、祖父と祖母や大人にもポチ袋を渡していった。
織子はすぐに中身を確かめる。10万も入ってる!!!
ビックリしてすぐに父に報告した。
「お父さん!ヤバい!貴和子叔母さんにこんなに貰っちゃったよ!」「オオッ、本当にスゴいな!」
「まあまあ、すみません。こんなにいただいて〜」母も走ってきて中身を確認するとすぐに取り上げられた。
「子供がこんな大金持ってたら、ロクな事ありません!お母さんが預かります!」と取り上げられた。
織子はシュンとした。
冴子の方を見ると静かにしてたせいでちゃっかり自分の荷物の中にしまってる。
「ねねっ、いくら貰ったの?」織子が聞くと冴子は笑ってごまかした。
「へへっ、私は良く貰ってるから〜そんな大したことないよ〜」家に帰って来ても今まで全くこんな話は聞いてなかった。
きっと母と示し合わせて黙って居たのだろう、ズルい!
その夜はスーパー銭湯へ皆で行き、各部屋に寝て泊まった。
「お疲れ〜皆、疲れたのか眠ったよ。」父が誰もいなくなった客間で1人飲む雅紀の横に座った。
「本当に顔はソックリなのに性格が全然違うなあ〜織子ちゃん。冴子の方が近いかな?美沙には?」雅紀が言うと織子の父が笑う。
「いや〜冴子は母親似だね。空気を読んでるがチャッカリしてる所が。」そう冴子は気を使ってるが、決して引っ込み思案とかではない。
損得はしっかり計算できるタイプだ。
「やっぱり中身も似てる気がするなあ〜織子は。
でも、敢えてそんな自分を鼓舞してる。小さい時から反骨精神だけは強くてね〜嫁と3歳くらいから戦ってるよ。」と父が笑う。
「美沙も大人しく見えて頑固で意固地だったもんなあ〜」「…もう亡くなって18年だ。」2人は静かに酒をあおった。




