第27話 大事件
その日。
竜崎家の家族グループメッセージは平和だった。
母
『今日は暑いわねぇ』
菜月
『暑い』
勇輝
『暑い』
美咲
『暑い』
父
『暑い』
誰も内容がない。
いつも通りだった。
その時。
大輝
『今度の連休実家帰る』
既読5。
数秒後。
母
『久しぶりね』
父
『おう』
勇輝
『了解』
菜月
『珍しい』
美咲
『子供連れて行こうかな』
平和だった。
しかし。
次のメッセージで。
全てが変わる。
大輝
『あと』
大輝
『恋人連れて行く』
沈黙。
既読5。
しかし。
誰も返信しない。
数秒。
十秒。
二十秒。
そして。
家族グループメッセージが爆発した。
母
『え!?』
菜月
『え!?!?!?』
勇輝
『は!?』
美咲
『は!?!?!?!?』
父
『マジか』
大輝
『マジ』
◇◇◇
その頃。
美咲の自宅。
「あなた」
美咲が立ち上がる。
「どうした」
夫が振り返る。
「大輝が恋人連れてくる」
「へぇ」
「実家行く」
「早いな」
「行く」
即決だった。
◇◇◇
一方。
菜月。
『写真は!?』
即送信。
大輝
『ない』
『なんで!?』
『ないから』
『送れ』
『ない』
兄妹喧嘩だった。
◇◇◇
勇輝も落ち着かない。
『どんな人?』
『優しい』
『他は?』
『優しい』
『分からん』
大輝の説明が雑だった。
◇◇◇
夜。
実家。
父と母。
「大輝がな」
父が言う。
「恋人だって」
「ねぇ」
母が笑う。
「良かったわねぇ」
「良かったな」
少し嬉しそうだった。
大輝は昔から面倒見が良い。
優しい。
でも。
自分のことは後回しだった。
だから。
父も母も。
少し安心していた。
◇◇◇
数日後。
再び家族グループメッセージ。
菜月
『あと何日?』
勇輝
『あと何日?』
美咲
『あと何日?』
父
『あと何日だ』
母
『楽しみね』
大輝
『お前ら』
『何』
菜月。
『楽しみにしすぎ』
大輝。
すると。
勇輝が送った。
『だって兄ちゃんが恋人連れてくるとか人生で初めてじゃん』
沈黙。
数秒後。
菜月
『確かに』
美咲
『確かに』
父
『確かに』
母
『確かに』
全員一致だった。
大輝はスマホを見ながらため息を吐く。
その横で。
観月が不思議そうに聞いた。
「どうしました?」
大輝は苦笑する。
「いや」
「?」
「うちの家族が」
少し笑った。
「めちゃくちゃ楽しみにしてる」
観月は少し驚く。
そして。
少しだけ照れながら笑った。
「そうですか」
その笑顔を見て。
大輝は思う。
たぶん。
うちの家族。
亮太のこと好きになるな。
間違いなく。
そしてその予感は。
数日後。
見事に的中することになる。
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