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第26話 今度、実家来る?


 ある休日。


 観月の部屋。


 夕飯を食べ終えて、二人でソファに座っていた。


 テレビはついている。


 けれど、二人ともほとんど見ていない。


「そういえば」


 観月が言った。


「ん?」


「竜崎さんって四人兄弟でしたよね」


「ああ」


 大輝が頷く。


「姉と弟と妹」


「賑やかそうですね」


 観月は少し笑った。


「羨ましいです」


 大輝が観月を見る。


「そうか?」


「はい」


 観月は頷く。


「一人っ子だったので」


 大輝は少し考えた。


 確かに。


 観月の家は父と母と三人家族。


 仲は良いらしい。


 でも。


 竜崎家みたいな騒がしさとは無縁だろう。


「まあ」


 大輝は笑った。


「うるさいぞ」


「そうでしょうね」


「本当にうるさい」


「想像できます」


 観月も笑う。


 ◇◇◇


 少し沈黙。


 テレビの音だけが流れる。


 そして。


 大輝は何気ない調子で言った。


「それなら」


「はい」


「会ってみるか?」


 観月が止まった。


「……はい?」


 大輝はソファにもたれたまま続ける。


「実家」


「実家」


「うん」


 観月は数秒黙った。


 実家。


 つまり。


 父。


 母。


 姉。


 弟。


 妹。


 全員。


「ご家族にですか」


「そう」


「なぜですか」


「恋人だから」


 即答だった。


 観月が止まる。


 なんでそんなに自然なんだ。


「嫌か?」


「嫌ではないです」


「じゃあ決まり」


「早いです」


 ◇◇◇


 大輝は笑った。


「今度連休とかないのか?」


「来月なら一日くらい」


「俺も休み取るか」


「取れるんですか」


「たぶん」


 たぶんだった。


 救急隊も忙しい。


 観月も忙しい。


 休みを合わせるのは簡単じゃない。


 それでも。


「日帰りで行くか」


 大輝が言う。


「車出すし」


 観月は少し考えた。


 正直。


 緊張はする。


 かなりする。


 だが。


 少しだけ興味もあった。


「……ご迷惑では?」


「誰が?」


「ご家族です」


 大輝は笑った。


「それはない」


「言い切りましたね」


「むしろ喜ぶ」


「なぜですか」


「知らん」


 知らないらしい。


 ◇◇◇


 観月は少しだけ笑った。


「分かりました」


「おう」


「お邪魔します」


「たぶん歓迎される」


「たぶんですか」


「たぶん」


 信用できない。


 少しだけ。


 嫌な予感がした。


 ◇◇◇


 その夜。


 大輝は実家の家族LINEを開いた。


 そして。


『今度、恋人連れて帰る』


 送信。


 既読が一瞬で五件付いた。


 嫌な予感しかしなかった。

読んでいただきありがとうございます!

毎日12時に投稿予定です५✍⋆*

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