表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/8

3. 邂逅

時代設定は平成です。

拙い表現も多いと思いますが、新しい回の追加と並行して、以前の回も適時修正しています。エピや会話の増補もあります。

よろしくお願いします。

機械の前部は、中庭側の壁を突き破って、えぐれた床に半分埋まっている。

放電は弱まっている。

円筒形にはそれぞれ外側に向いたスリットがあり、そこから空間そのものを歪ませるような揺らぎが出ていた。

それが幻影の元なのか…

幻影?

彼方のオタク知識が、もっとふさわしい、だが突拍子もない名称を持ち出してきた。


「…光学迷彩…」

その類の研究を紹介した番組を見たことがある。だが対象物にプロジェクターで背景を投影するといった未熟なものだった。

それに比べて、眼の前に広がっているこれは何だ!?

現実と区別がつかない方法で、破壊される前の校舎、そして校庭、その向こうの田畑までを再現している。音や煙、匂いまでも遮断している。


彼方は黄色い側面を見渡し、触れる寸前まで手をかざした。

熱は感じない。宇宙から突入したのなら、まだ相当の摩擦熱が残っている筈だ。

ロケットなら、焼けた排気の匂いもするはずだ。

だがこの機械には高温の残滓も燃焼の痕跡もない。

表面を覆っている粉塵を手で払ってみる。

現れた表面は、まるで卸したてだった。擦り傷一つない。

壮絶な激突に、この機械は何一つダメージを受けていない。


「…シールド…か?」

…頼むよ…、ここは御祓中学校なのだが…今は期末試験前なのだが…

SF映画じゃなくて、石川県七尾市なんだから…


廊下が明滅している。瓦礫を跨いでその方向を覗く。放電は機体の向こうだ。前端の辺りは乗り越えられそうだ。

反対側に回ると、パネルが浮いている。外殻の裏が仄かに発光して内部構造を浮かび上がらせていた。

それは彼方が今まで見たどんな電子機器にも似ていない。多層の集積回路が基盤に溶け込み、神経束のような配線は3次元構造で別の回路に繋がる。

その配線に、分断したような箇所があった。周りが焦げている。

この機械は、壮絶な激突でも壊れるどころか擦り傷1つ付かない。

なら、なぜパネルは浮いているのか、中が焦げているのか。


「これは…」

「…故障…なのか…??」


分断された断面は、黄金色だった。


彼方は、前端をまたいだときに、上部に丸く赤いものがあるのに気付かなかった。

暗がりの中で、そのレンズがゆっくりと動いた。

かがんだ彼方の背中へ向いていく。内部の構造が不気味に回転する。

やがて、レンズの周囲40センチ四方ほどの外殻パネルに、幾何学的な亀裂が走り、押し上げられるように持ち上がった。隙間から内側のターコイズメタリックのメカニズムが覗く。隙間はじわじわと大きくなり、そして軽く剥がれるように浮遊した。

露出した部分は直径50センチほどの凹凸のある球形で、レンズに付帯した外殻は、女性が羽織るボレロのようだ。


彼方が立ち上がった瞬間、それと目が合った。

2メートルほど隔てて、暗がりに球体が浮かんでいる。

レンズ内が仄かに明るい。見下ろされている。


彼方は、動けなくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ