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救命活動with転生Girls!  作者: 涼雲ルミ
尽力令嬢とフクシュウ
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そして傍に居る。

「とにかくさ、水浴びしてきな?話はそれから!」

「はーい」


私がそう言い放てば、彼らの隣に立っていた女性が「早くしてくださいよ!」と言い放った。

プンプンと怒りながら、「私そんなに待てないんですけど!」と。


「えっと…兄さん、この人は?」

「…そうだな、えっと…」

「水精霊ちゃんで〜す!よろしくですっ!」


…凄く信じられないんだけど、ロータスもアスタも頷いてるから本当なんだと思う。

自分に話題が移ったことが嬉しかったのか、ニコニコと自信満々に言い放つ…水精霊様。

ろ、露出が人間とは違う…! あの人が語ってくれた海にいる人魚みたいだな、と思い、少しだけ嬉しくなってしまう。


「なあに?」

「凄く綺麗だなって…」

首を傾げて呟く水精霊様に思わず呟くと、「やだっ嬉しい〜!」と言いながら私のことをぎゅっとする。

…ごめんティーア、私もこんな感じで締め付けてたんだね。次からはもう少しゆる〜く抱きしめることにするよ。


「あ、そうだ!水浴びなら私がやれば良いじゃないですか!」

私頭良い!と言いながら、アスタ、ロータス、リスクくんに向かって手を差し伸べる。そのまま「えい!」と言い放てば、彼らの上から膨大な量の水が降ってくる。


「「「ん"っっ!?」」」

「わぁ?!」「えっ大丈夫!?」

私達は3人の所に駆け寄る。降ってくる水はもう無かったけれど、3人はずぶ濡れで放心状態だ。


「ぷふっっ…」

「わ、笑うなよフラン!!!」

そんな彼らに思わず笑ってしまうと、アスタが水滴を振り払うようにブンブンと頭を振り回す。

その姿があの人のようで、更に笑ってしまう。

「仲良しですね〜あの2人」

「そうなんですよ!もう凄く仲良しなんです!」

「喧嘩する程って奴か〜、昔を思い出しますねぇ〜」

レアンと水精霊様が話をしている。

レアンって誰にでも分け隔てなく接しているから憧れるんだよね。あの人と共に優しさもあるから、それもあってほんと尊敬。1歳年下の筈なのに。


「じゃ、私花壇に水やりだけしてくるから、いつもの部屋で待ってて」

それから、レアンやロータスの所はガラハッド達が帰ってきている筈なので、邪魔しちゃ悪いと思い私の家に招き入れる。

私の家と言っても、父として育ててくれたスワン・フレグラントお義父さんが遺してくれた物なんだけど。

「私がやってあげましょうか〜?」

「あ、ありがとうございます!…けど、私がやりたいから…」

水やりを手伝うと言ってくれた水精霊様だったが、私はそれを断る。…やりたくてやってることだし、この花壇もお義父さんの好きな花だから。

魔法でお花に水をやる私を見た水精霊様は「そう…」と呟く。…少しだけ、嬉しそうな声色だったのは気の所為だろうか。

それから、部屋に向かう為家に入る。何故か水精霊様も一緒に入ってきて、「獣人の匂いがします〜」と呟いていた。多分皆には聞こえてない、私だけに聞こえたと思うんだけど…。……分かるのが凄い。スワンお義父さんが生きてたのはもう何年も前のことなのに…。


「違いますよ、貴方が持ってるそれからです!」

「……羽の…首飾り??」


うん!と言いながら前に向かって浮かんでいる水精霊様。

扉の向こうには4人がいる筈。…すぐに向かわなきゃならないのに、水精霊様の言葉が頭に残り、中々足を踏み出せない。

「さっきから言おうと思っていたんですけどね!…あれ?でも向こうで同じような気配もあったっけ?」

う〜ん、思い出せないな〜と唸りながら上下している水精霊様。


「…とにかく、大切にしてるのは…良いことですね!」

笑顔でそう言ってくれるので、少しだけ心が温かくなる。

「…ありがとう、ございます…」

「いーのいーの、気にしない気にしないでください!」

それから、「それより、彼女のこと大切にしてくれてありがとうございますっ!」と言い放った水精霊様は、そのまま部屋の中へと入っていく。…彼女のこと?と聞きたかったけれど、聞ける雰囲気でも無い。

今はそれより、どうしてボロボロだったのか聞かなければならないから。


「それで、兄さん、それにアスタとリスクくん、どうしてそんなにボロボロだったの?」

レアンがそう聞けば、3人はうっ…っと言葉を詰まらせる。

「……僕も、兄さん達がどうしてあんな所に居たのか聞きたいなぁ、なんて…」

リスクくんはそっぽを向いてそう言い切ると、アスタが「あっリスクお前逃げたな!?」と言い放った。

リスクくんは一人だけボロボロ…というより汚れてるだけだったから、恐らく彼と2人とは違う理由があったのだろう。


「…そうだな、色々あって奴隷商人に捕まったんだ」

「「………」」


…ロータス、それは言葉としてどうかと思うよ。

ただでさえ無口なロータス。家族や私達、それにティーア達といる時は口数多くなるものの、言葉足らずという点では何も変わっていないのだろう。

それだけじゃ何も伝わらないって。

何?色々あって奴隷商人???…こっちからしたら、色々あっての部分が聞きたいんだけど!?


「兄さん!奴隷商人よりもその色々を教えて!」

「え?ああ、すまないレアン」

ロータスに向かって、頬を膨らませながらそう言い放つレアン。

ホントその通り。奴隷商人がいることは知ってるし、なんなら私も一時期関わってたから信じることは出来るけど、その“色々”が気になるのよ。


「それに、アスタ、あんた最近来れてないでしょ!そろそろ理由話しなさいよね!」

「いやぁそのデスネ、えっと…色々ありましてデスネ…」

「だから、その色々を話せって言ってるのよ!!」

アスタもロータスも似た者同士なんだから…と呟けば、2人から「レアンとフランも似た者同士だと思うが」「それな」という声。

私達2人は顔を見合わせる、…そんなに似てるだろうか。


「…奴隷商人は受け入れるんですね……」

そして、リスクくんがボソリとそう言い放った。あ、そっか。

「奴隷商人に捕まってた人達はどうなったの…!?」

そこじゃないです!!と言うリスクくんだったが、アスタは自信満々に「ティーアちゃん達が来てくれたから大丈夫!」と言ってきた。


「……ティーアが?」

「あっべ……」

顔色を変えるアスタ。

ロータスはため息を付き、リスクくんには「ティーアには秘密にしとけって言われただろ兄さん…」と言われる始末。レアンも苦笑いになるし、私は目を吊り上がらせてしまう。


「……ふーん、ティーアにも会ったんだ」

「ごめんってば!!フラン!そんな拗ねるなよ!」

別に拗ねてるわけじゃないし。

…ただ、それを言い換えれば、私が知らない2人が居るってことで…なんか悔しいような気がする。別に2人がどう会ったって関係ないのに、…嫉妬とか?いや、まさかね。

まあ、私よりアスタの方がティーアに会ってるっていうのはちょっと癪に触るかな。私なんてティーアと全然会えてないっていうのに。


「…あっ!私やることあるんだった〜!」


そして、レアンが唐突にそう言い放つ。

すくっと立ち上がって、水精霊様とリスクくんの腕を掴んだ。

「??そうだったの?手伝おうか?」

「大丈夫大丈夫!兄さんに手伝ってもらうから!ほら、兄さんも来て!」

そのまま2人を引き連れて部屋の外に出ていく。

ロータスは「まずリスクくんの腕を〜」と口を開こうとするが、レアンは「良いから早く!」と一喝する。

そんなに忙しいやることがあったんなら全然手伝うのに…と口を開こうとするも、すぐに部屋には私達2人が残される。


「何があったんだろうな」「ね」

騒がしかった空間が一転、部屋は静けさに包まれる。

レアンの声も段々遠ざかっていき、窓の外からは孤児院に向かっている後ろ姿が見えた。


「「………」」


久しぶりすぎて何を話したら良いのやら。

会わない時期は何をしてるのか気になってて、心配で、早く会いたいなって思ってたのに…。いざ会ったら、今度は少し恥ずかしくなって。そのまま彼の後ろに回って、背中合わせで座り込んだ。


「…俺さ、お前に隠し事したくなくて。また暫く来れなくなるかもしれないんだけどさ、聞いてくれる?」

ポツリと呟いたアスタ。

どんな表情をしているのかな。…見てみたいかも。だけど、私が行動に移すよりも前に、アスタが口を開いた。


「…貴族なんだよな、俺」

「………薄々感じてはいたけどね」


私が普通にそう声を上げれば、「えっ嘘だろ!?!?!?」と、心底驚いたような口調で言い放つアスタ。背中がぽっかりと空いてしまったので、アスタは動いたのかもしれない。

…いや、気づくでしょ。

本格的なことは分からなかったけど、会った時どっかの坊ちゃんみたいな感じだったし、ロータスが暫く敬語使ってたくらいだし。ロータスが年下の民に敬語を使うなんて珍しいなって思ってたもん。

「隠しきれてると思ってたんだ」

「いや…だって…苦手って言う割に普通に接してくれてるから、全然気づいてないのかなって…」

徐々に小さくなっていく声色。…そっか、苦手っていうことは知ってるんだったっけ。理由は教えてないけど。まあでも…

「…わざわざアスタに態度変える程アスタに貴族味を感じてなかった…的な?」

「嫌なこと言うなぁ、むちゃ失礼じゃん!」

笑いながらそう言えば、アスタも笑いながら返してくれる。

「冗談冗談」と言いながら前を見据えれば、背中に温もりが返ってきた。温かいな。


「…初めて会った時さ、覚えてる?」

「昨日のことくらいに鮮明には。」


そっか、と呟けば、暫し沈黙が訪れる。…覚えててくれたんだ。


「…まだ伝えてなかったよね、…ありがとう。」


私も覚えてるよ。

あの日、貴方がこの首飾りを見つけてくれた。水精霊様が“獣人の匂いがする”と言ったのは嘘でも何でもない。失くしてしまった首飾りをずっと探し続けてくれて。「もう良いよ」って言っても聞かなかったよね。

日が暮れて、夜になって、太陽が昇っても。貴方はずっと探してくれた。

私にとっての、スワンお義父さんの、大事な大事な形見だったから。


…良かった。いつか伝えようって思ってたけど、今日伝えられて。



「俺もさ、伝えても良いかな?」


また背中の温もりが消え、立ち上がる音が聞こえた。

思わず振り向いてみると、アスタの顔がすぐ近くにある。そんな真剣な表情をしてどうしたんだ、と呆れてしまう。…貴族だ、以外に真面目に話すことがあるのかな。




「…なに?」

「好きだよ」





えっ…?と呟くよりも前に、アスタにぎゅっと抱き締められる。

頭が追いつくよりも前に、私の顔は、アスタの胸の中にあった。


「あの日から、お前の笑顔が好きだ。」

料理も洗濯も何もかも一人で頑張ろうとしてる所も、過去を乗り越えようとしてる所も、あの人から優しさを受け継ごうと頑張ってる所も、それでも厳しい所が好きだ。初めて食べた手料理だって覚えてるし、ミサンガのことも覚えてる。ティーアに幸せになって欲しいって思ってる所も、ティーアの軍事利用に反対しまくってた所も、リスクのことを考えてくれる所も全部全部好きなんだ。…等など、…その言葉一つ一つが温かくて、…気がつけば、目が霞んでいた。

目の前がぼやけるくらい、何も見えない。


「優しさと厳しさで迷って葛藤してた筈なのに、何もしてあげられなくてごめんな…」

「そんなことっ…無いよっ…、わたしっアスタのっおか…げでっ……じぶっ……」


…スワンお義父さんのように優しい人にならなきゃならないって思ってた。だけど、アスタはそんな私も、そっちじゃない私も好きだって言ってくれた。受け入れてくれた。

本当の自分を受け入れてくれたような気がして、…あの時ずっと傍に居てくれたレアンも、そんなことを言ってくれてたっけ。

懐かしいなぁ。

そして、その言葉には…ティーアの顔も浮かんできた。ティーアは村に帰ってきたらいつも「何かやることはありますか?」「手伝いますよ!」と言ってくれる。…私を、受け入れてくれる。


「だから、好きだ。…ずっとずっと、大好き。今も、昔も。」

「っ…早すぎるよ…!…けど、私も好きだよ!大好き!…馬鹿…っっ!」

…早すぎる。まだ心の準備、出来てないのに…っっ


「俺の継母(かあ)さん、馬鹿だからさ。…最期は好きな人と一緒に居なさいって言われてんの」

後悔しない選択をしろ、そう言われて育ってきたんだそうで。…この村に来てくれたのも、きっとその教えのお陰なのかな、って思いながら、その話を聞く。

好きな人って…、面と向かって言われると目を逸らしてしまいそうになる。…だけど、ここで目を逸らしたら格好良くないもんね。

私は、正面からアスタを見つめた。


「…名前言ってなかったな、…俺はアスタグラン・カモミート。パラヴィお母様の子供で、ボライフお継母様にも育てられた。伯爵家の長男だ」

「私は、っフラン・フレグラント。…この村で育ってきたっ…貴族のことはちょっと苦手な…スワンお義父さんの、子供だよっ」


私達はお互い顔を見て微笑み合う。差し出された手をゆっくりと握りしめることが出来た。

スッキリしたよ。…これで、お互い、嘘も隠し事も無いね。


唇と唇が、重なり合う。


久しぶりに、貴方の傍に居ることが出来て良かった。

ありがとうアスタ。ありがとう、私と一緒に居てくれて。


…そして、………これからもよろしくね。







ーーーーー







「なあレアン、なんでここに来たんだ?」

「…嘘でしょ兄さん、分かってないの…!?」

不思議そうにこちらを見てくる兄さんに、呆れ顔を見せてしまう。水精霊様も不思議そうな顔をしていたけれど、リスクくんだけは分かってくれていたようで、足だけは進んでくれていたんだよね。

…兄さん、リスクくんだって分かってるんだよ?


「…あの、レアンさん…そろそろ手を…」

「あっ…ごめんね!痛かったよね!」

そういうわけじゃないんですけど…と言いながら手を離し、そのまま孤児院の近くのベンチに座り込むリスクくん。耳が赤くぐったりとしているので、疲れているのかもしれない。

私と水精霊様に向かって先にどうぞ、としてくれたけれど、私は兄さんに言わなければならないから断った。


「何年も一緒に居たじゃん!気づかないの!?」

「………。…何をだ?」

ほんっと鈍感なんだから!!!よくこれで、“王城”の衛兵を務めてるわよね!

それに、アスタだって貴族だってこと隠し通せてると思ってるみたいだし、…というか、あの2人…なんなら兄さん含め、3人共ほんとに分かり易すぎるんだから!


「レアン?」

頬が膨れていくのを自覚せざるを得ない。

何でもない。と言い切れば、不思議そうにしていた兄さんは何も言ってこなくなった。…ちょっと言い過ぎたかな。後で謝らないと。


「うふふ、大変そうですねぇ〜」

「…でも、楽しいですから!」

「うん、…この時間を大切にしてくださいねっ」

水精霊様の言葉に、私は力強く頷く。

大事な人がいなくなってしまう辛さを…私は知っている。私達は知っている。大好きな人ともう会えない、…ならば、この時間はかけがえない大事な物。


「はい、…その為に私、この村を…皆の帰る場所を守りますっ!」

「…そっか。頑張って、レアンちゃん」


水精霊様は優しく微笑む。…私は、これ以上あんな辛い思いをしたくない。させたくない。だから、必ず皆の帰る場所を守り抜く。

…なーんて大口叩いてるだけかもしれない。それでも、心に誓うくらいはいいよね。


そんなことを思いながら、数分後には2人と合流する羽目に。

もっと2人で居てくれてもよかったのに…と思うけれど、…仲は悪くなってないし、むしろ仲が深まったんだろうなぁと思ってしまう。


……月明かりが、手を繋ぐ2人のことを祝福しているかのように光り輝いているのを、この目に留めながら、私は再度誓う。


皆の帰る場所を守るよ、絶対に。





この2人が作中で付き合うのはしゃーないと思ってもろて。(どうしても書きたかったんです)


―――――


【救命活動with転生Girls!〈外伝〉】という小説を投稿致しました。不定期ですが、そちらの方もどうぞよろしくお願いいたします!



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