Ⅰ29.卓越少女は治癒される。
「った…良かった…っ」
誰かが、泣いて…?
「んんっ…?」
「あ、や…よ、良くないです!!」
あぁ、そうだ。貴方はいつも、そうやって泣いてくれて。…温かい、…陽の光みたいで、格好良い。
「…また言えなかった。僕だって、本当は…」
いつも、面と向かって言ってはくれないけれど。
「お〜〜〜い!――くん!早くしなさい!」
「う、うるさい我儘王女っっ」
それでも私は…ちゃんと気づいてるから。
「メラナイトぉ…また……」
分かってるから。
「…ティーナ、今日も行くかい?」
「えぇ!行くわよっ!!!」
……だから………
ーーーーー
ーーーーーーーーーー
「っっぁ…ぅ…」
痛い、物凄く痛い。手がプルプルする、痙攣?
…いや、魔力切れ?頭がかち割れそう。待って待って待って待って…私今、なんっ…え…ぇ??
「ティーア!!!!!!」
「ぅ…ぁ、ぃ、イグ…?」
あぁ、そうだ。
騎士団と会って、新兵と逃げて、騎士団長の所に行って、イグが来てくれて、魔物突き刺して、崖崩れが起こって、それで……
「無事!?!! あ…イッ…」
「君がですよ、ティーア嬢」
あ、騎士団長。
それに…新兵と、イグと、…知らない人。えっと…第五番隊の人達かしら。この前の一件で見たことある人達もちらほら。作戦会議室からの通信でシモンズ副団長が言ってたものね。
重い腰を持ち上げ起き上がろうとするも、騎士団長に止められてしまう。
「貴女は魔力切れと銃弾による重傷、大人しくしていてください。」
「……はーい、」
仕方なしに返事をする。
ここで逆らったらまた厄介なことになりそうだもの。
「……イグ殿も、ティーア嬢の側にいてあげてくださいね。」
「はい」
……若干騎士団長に違和感がある気もするが、まあ良いだろう。騎士団長に団服を借りている私は、そのまま隣にいてくれるイグに声を掛ける。
「イグ、どうして来たの?」
「…どうやって来たの、とかは聞かないんだ…」
苦笑いでそう言ってくるイグ。
…まあ、向こうにセラフィーナさんやレオンハルトさんが居ることは分かっているし、なんらかのカタチで出来ても不思議ではないだろう。それに…
「この前タリティ男爵領で誰が4人を向こうに送ったのか覚えていないのかしら?」
「それもそうだね」
少し自慢げに答えれば、イグも感心したように手を合わせてくれる。
…まあ、嘗ては我儘王女と呼ばれた私だけれど、これくらい誇っても良いわよね。だって本当のことなのだし。
「イグ殿、ティーア嬢!第七番隊が到着致しました!お怪我を見させていただくので、こちらに…」
「私は怪我してないから、イグを見てあげて」
「俺も怪我はしてないから、他の新兵を見てあげてください!」
「いえ、ですが…!」
いやいやいやいや、私全然怪我なんてしてないし、なんなら銃弾掠った所は治し済みだし。
……イグに至っては私が全身全霊でずっと結界張ってたから割と安全だったと思うのだけど…
「女神やイグ殿に何かあったら、俺達としても…!」
「そういう物、なのか?」
「…時代の流れだわ。あと女神呼びはやめてください」
昔なんて、怪我してなかったらそうですか、で終わってたわよ。…まあ私は王女だったから色々治癒だの救護だの言われてきたわけだけど、平民としてはそこまで気にしてくれる必要はないのに…。
なんて言ったら、前世の知り合いに同じ言葉を返されてしまうので、口には出さないように気をつける。
「……まあ別に良いけど、やることないと思うわよ」
「念の為です…!!!!」
了承すれば、第七番隊と呼ばれる騎士達の元へ向かわされる。イグと共にそこへ向かえば、治癒されている新兵の中に私をおぶってくれた方や魔道具を持っていた方、止めてくれた方などがいる。
……そして、その腕には岩の拘束具が。
苦戦しているのか中々取れない状況。……ちょっと待って…?これは完全に私の責任すぎる。
「ご、ごご、ごめんなさい…!?!!」
私は急いでその拘束具を解除した。
ついてこないようにしてもらおうとする余り、奇襲者達と同じように拘束してしまっていたらしい。急いで解除し謝る。
だからついてこなかったのね……完全に私の所為じゃない!
「い、いえ……これは…女神が…?」
「めがっ…、………ええそうかも。ごめんなさい」
新兵とは言え騎士の卵である彼らを拘束するなど、国家反逆罪として捉えられかねない事態。女神呼びを改めて欲しいけれど、それ以上に敵意がないことを証明しなければならない。
もう…本当にごめんなさい。
彼らには何の罪もない。それどころか、私を守る為に止めようとしてくれていただけだというのに…。流石に申し訳ない気持ちでいっぱいだわ。
「あらあら…貴女が副団長や団長が言ってたティーアさん?」
「えと…はい!そう、です…?」
それから、白い団服を身に纏った女性のような方からそう聞かれ、私は即座に頷く。
「うふふっ私は第七番隊隊長ヴァレリアン・ハート!救急で怪我の様子を見たいから、団服を退けてもらっても良いかしら?」
「………良いですけど…」
私が少し躊躇った返事をすれば、ヴァレリアン隊長はキョトンと首を傾げる。
「…その、足が…」
ワンピースがボロボロになっちゃったから、足丸見え状態なんだよね。戦闘中は気にすることなかったけれど、流石に今この状態では…と躊躇してしまう。
それに気がついたイグはぱっと顔を背けてくれた。
ヴァレリアン隊員は不思議そうにする新兵達に「あらあらまあまあ…早く顔を反らして?」と笑顔で言い放った。
「も〜、ごめんなさいね、気が付かなくて」
結局、新兵達やイグが団長達の方へ向かってしまったので、ここには私とヴァレリアン隊長だけが残る。
いえ、と返事をしながら団服を退けると、ヴァレリアン隊長は事細かに傷なんかを治してくれようと治癒魔法を使ってくださった。
「…ねえティーアさん、この背中の痣は…」
「あ、それは今回じゃないです!あと多分治らないし、それに…」
…この背中の傷は、前世でついた物だ。
フランさんに言われた時もそうだったのだが、改めて考えざるを得ない。前世でついた傷も残ってることを考えれば、…転生とは違うのではとまで考えてしまうのである。
そもそも私の死後のことは知られていない。意図的に隠蔽され情報を散乱させた可能性もあるから、…最早転移だったりして。たいむすりっぷって奴だったりするのだろうか。
とは言えあの日以降の話は語られていないっぽいし、私はやはりあの時死んだのだろう。
その時の傷が濃すぎて魂にまで刻まれ、その所為で生まれた時から痣になっていると言うだけの可能性だって考えられるし。それに……
「それに?」
「…消したくない傷だから、」
それにこの傷は消したくない。
私がハッキリとそう言えば、ヴァレリアン隊長は「分かったわ」と笑顔で言ってくれた。
そして、腕や足についているかすり傷なんかを取り除いてくれる。自分でほぼほぼ完璧に治癒完了だと思っていたけれど、意外とそうでもなかったらしい。
「まだ子供なんだから、怪我しちゃ駄目でしょ〜?」
「うっ…ごめんなさい…」
顔だけは傷つけないように、と思っていたのだけれど、顔だけでは駄目だったらしい。
「…そういえば、イグの方の怪我は…」
「イグ殿、ね……。彼なら第七番隊隊員が責任を持って治癒に当たってるから心配いらないわ」
どうやら、第七番隊は救護専門の隊らしい。
治癒してもらっている間割と暇だったので色々聞いてみると、ヴァレリアン隊長はしっかりと答えてくれる。
現在王国騎士団には第一番隊から第十番隊まで存在しており、それぞれ隊によって役割が決まっている。
第一番隊は王都警備。第二番隊は先行特攻。第三番隊は作戦指揮。第四番隊は魔道具関連。第五番隊は乗魔獣関連。第六番隊は遠方警備。第七番隊は救護関連。第八番隊はギルド連携。第九番隊は隠密任務。第十番隊は単独任務。
新兵制度がまだ残っていたことは意外だったけれど、隊の役割は1000年前とは違うみたいだ。
1000年前はこれに呪術関連や式典部隊なんかがあった筈。だけど、式典部隊は全て王都警備の第一番隊が担っているそう。
呪術関連は話にすら出てこなかったので、呪い関連は廃れている可能性も考えられる。…とは言え完全に消えたと油断するのは危険だろう。人々がいる限りその感情は消えることはない。永遠に。
「…こんなものかしら。また何かあったら呼んでね、ティーアさん♪」
「はい、ありがとうございます!」
救急箱をしまいながらそう言い放つヴァレリアン隊長。
私はしっかりと返事をするが、ヴァレリアン隊長は中々動かない。不思議に思って首を傾げていると、ヴァレリアン隊長は「所で」と話題を変えてきた。
「ティーアさんとイグ殿はお知り合い?」
「?そうですね、学園での知り合いです」
王国騎士団ということは、陛下へ直接伝わる可能性も否めない。
ここは慎重になって返事をせねば、と思うけれど、それ以上にここにいる時点でそこまで大差なさそうだなと思ってしまう。
「あらあら、本当にただの知り合い?」
「…ええ、そうですけど…」
……いや、普通に知り合いよね?ただの。
まあ、セラフィーナさんやレオンハルトさんの知り合いという意味では普通の知り合いではないような気もするけれど、私個人としては普通に挨拶され1、2回しか会ったことない普通の知り合いだもの。
「ならなら、そうねぇ…好きだとは思わない?!」
……ん?
「ティーアさん可愛いんだもの〜!きっとイグ殿も…」
「いやいやいやいや、貴女、何言っていらっしゃる…!?」
普通の知り合いだってば!
そんなことを言おうとすると、後ろから「隊長!!」という大きな声が聞こえてきた。
「恋に脳みそ取られないでください!」
「あらあらアルシアちゃんったら!そんなに怒らないのぉ〜」
「その呼び方やめてください!俺は男だ!!!!」
「まぁまぁ嫌よぉ〜だってアルシアちゃんは可愛いもの〜!」
言葉から察するに、同じく第七番隊の隊員なのだろう。
ニコニコと楽しそうにアルシア殿の頭を撫でるヴァレリアン隊長だったが、アルシア殿は肩を震わせる。
「副隊長が何とおっしゃるか…っッ!!」
「あらあら!きっと大丈夫よ〜だってソティルちゃんも可愛いんだもの〜!」
何も大丈夫しゃなさそうに聞こえるのは私だけだろうか…と思いながら二人を見ていると、アルシア殿は声を震わせながら「どこが大丈夫なんだぁぁぁぁあああ!!!!!」と叫んでいた。
…良かった、疑問なのは私だけじゃないみたいだ。
そして、その大声につられてやってきたのか、向こう側からイグや他の騎士が走ってくる。
「ティーア!どうだった?!」
「ぜーんぜん平気よ!痛くも痒くもなかったわ」
「そっか、良かった」
イグがニッコリと微笑んでくれる。
いつの間にかアルシア殿とヴァレリアン隊長の声が聞こえなくなっていたので振り返ると、ヴァレリアン隊長がアルシア殿の手を後ろに回し動けなくしている所で、隊長格の凄さを見せつけていた。
それと同時にこっちをキラキラと見つめていた理由は気になるけれど、見なかったことにしようと思う。
「ヴァレリアン隊長、お疲れ様です」
「ストームちゃんこそお疲れ様〜王都からここまで30分で着き、的確に処置してくれて助かったわぁ〜」
「いえ、それは俺ではなくホルエに、」
ストームちゃんと呼ばれた青年とヴァレリアン隊長が話しているのを、アルシア殿は睨むように見ている。
とはいえ何も出来ないので、苦笑いになりつつ彼らを見守り…その後イグと世間話やセラフィーナさんレオンハルトさんの話で盛り上がることに。
そして、数分後騎士団長とこの前のセルヴィラ隊長がやってくる。
「…イグ殿、ティーア嬢、帰りの準備が整いました。…あとはレオンハルト様やセラフィーナ様、向こうにはベオウルフ副団長もおります、…またお会いしましょう」
「ええ」「ああ」
若干睨んでいるようにも見える騎士団長だったが、顔を変えずに返事をする以外ない。
彼の言う通り帰る為の馬車の方へと向か……
「「……………」」
……あー、帰るの、馬車じゃなさそう。
なるほど、そうきたのね。予想外だったわ。確か第五番隊は獣騎による特攻とか言ってたわよね。つまり、契約獣がいるということ、……ふぅん、へぇ…………
「……イグ殿はここへ、ティーア嬢は…落ちないようしっかり掴んでくださいね」
「いや!俺は大丈夫だから、ティーアを優先してはこ…」
「イグ殿?????」
セルヴィラ隊長はイグに向かってニッコリと笑みを浮かべた。
これは…この前のレオンハルトさんの笑顔で学んでるわね。凄いじゃないセルヴィラ隊長、有無を言わさぬ笑みを習得してるわ。
……それよりも気になることがあるのよね。
イグとセルヴィラ隊長が言い合いをしている間に、私はセルヴィラ隊長が示していた契約獣の方へ向く。
……とっても綺麗で大きな鳥ね。そう、まるで……
『何よこの子!こんなにあたしに見惚れちゃって!セル!この子早くあたしに乗りたいそうよ!あたしが綺麗すぎるからかしら♪……早くしなさいよ!セル置いてこの子だけ連れて行っちゃうわよ!』
「だ、ちょ、マイカ待て!わかっ…わかったから!」
「セルヴィラ隊長、彼…彼女?は一体…まさか契約獣…!?」
「いっ…イグ殿、ちょ、だからあの…てぃ、ティーア嬢も、だから…イグニ…クリス…」
「「セルヴィラ隊長ちょっと黙って!!!」」
テンパった挙句この前のクリスティーナ様がティーアで、の件を話そうとしたセルヴィラ隊長。そんな彼の言葉を目一杯遮る。何なのよこの人一体!堂々としてる時と動揺してる時の差が激しすぎるわ!
『わかったわよしょうがないわね!待ってあげるから落ち着きなさいセルってば!』
「いや…うん、あぁ、ありがとうマイカ」
……それにしても、セルヴィラ隊長も大変そうね。
幻獣を契約獣にしている人はかなり魔力量は多めの筈。それを思うと、この人は元々レオンハルトさんに匹敵する程の魔力量を持っていたんじゃないかしら。
……幻獣が一人鳳凰の契約主…セルヴィラ・ネルソン。
そんな人が未だに騎士団にいるとは思っていなかったわ。1000年前の騎士団長が幻獣が一人黒竜と契約していたことを考えると、彼が騎士団長やら聖騎士やらになる可能性は高いのかもしれない。
となると、……今のうちに私はティーアですよアピールをしておかないとね。
「セルヴィラ隊長ー!私、早く乗りたい!この大きくて綺麗な鳥さんに!」
『ほらセル!この子とっても見る目があるわ!』
聞こえてくる声に苦笑いせぬよう細心の注意を払って、セルヴィラ隊長に向かってニッコリと子供のように純粋な笑みを向けてみる。……お願い隊長、私は普通の何も知らない女の子だから!だから、……マイカちゃんの声は聞こえてないから!
「あぅ、いや、……そうだな、……よし、イグ殿、ティーア嬢。帰りましょう、今すぐに、……マイカの背中にどうぞ、今すぐに!!」
諦めたのか、改めて私達2人を前に押し込み、後ろから支えようてしてくれるセルヴィラ隊長。
マイカちゃんは速く飛ぶことはなく、安全性を重視することを目的に、ゆっくりと3時間程掛けて王都の方へと向かってくれた。
……朝早く調査する為に来た筈だったのに目的を果たせなかったことは残念だけれど、でも変な魔力を感じたのは……気の所為ではなさそうだということは分かったわ。
何かが動き始めたことだけは分かった。
そして本当はこのまま何事もなく帰ってしまいたいけれど、ここで騎士団長の言葉を破り逃げ出したら、当然国王陛下の耳に直接入るに違いないだろう。
ならば、しっかりと話し合った方が効率的だし状況としても好ましい。
ただ、面倒臭くはあるけれどもね。
そんなことを思いながら、私は魔力切れの所為か再び眠りにつくのだった。
ーーーーー
イグニスとティーアが王都に向かった後。
第七番隊隊長ヴァレリアン・ハートは、騎士団長であるシリル・ハワードの元へ向かった。
「あらあら、す〜ごいお怪我ですね団長?」
煽るようにふふふと笑いながらそう言い放ったヴァレリアン。そんな彼女を、シリルは気怠そうに見上げた。
ヴァレリアンか、と零せば、ヴァレリアンはそのまま周囲の騎士に奇襲者達の処理を命ずる。その後、シリルと一対一で話を始めた。
「……彼らの手足についていた枷は恐らくティーアさんの為業かと思われます。」
岩の上に腰を下ろしながら、辺りの奇襲者についている枷を目を細めながら見つめそう言い放つヴァレリアン。
シリルは一度ため息をついた。
「証拠は?」
「新兵達についていた枷、ティーアさんが外してくださったので。慣れた手つきだった上に謝っていたので、彼らの手枷は彼女がつけたと考えられますよ」
普段は恋にうつつを抜かすヴァレリアンだったが、今は隊長として正確な判断を団長に言い渡した。
「…なるほどな、…それで、イグニス殿下との関係性は見えたか?」
「ん〜〜〜、あれはまさにこ…」
「ユーサー!ファルクー!終わったかー」
「もー!騎士団長ってばぁ〜!!」
……結局ヴァレリアンの冗談は当てにならないと思ったのか、シリルは立ち上がって、現場にいる筈の第三番隊副隊長ユーサー・ペンドラゴンや第四番隊隊長ファルク・イリージュを呼ぶ。
しかし、話をそらされたことに痺れを切らしたヴァレリアンはにこやかな笑みを浮かべその足をひっかけた。
「あらあらまぁまぁ!この程度で転ぶとは情けないですねぇ〜」
「……………」
「お怪我なさっているのに動かないでいただけます?シモンズ副団長に怒られるの私なんですよぉ〜〜???」
見事よろけたシリルを見下ろすヴァレリアン。
その後声につられユーサーやファルク達がやってくる。怒られているかのように縮こまる騎士団長を不思議そうに見守る新兵とは対照的に、本隊騎士は苦笑いを浮かべていた。
「シリル団長、貴方も帰りましょう、今すぐ」
「ヴァレリアン隊長怒らせると怖いんですか…」
「あらあらまぁまぁ、アルシアちゃん?」
「あっいや…なんでもない、ですはい、」
その後、ティーアやイグニスが乗った馬車に続き、様態の悪い者から順に王都へと送られたのだった。
もちろん、その中で一番怪我をしていた者は、誰がどう見ても騎士団長。
「貴方は切創刺創、そして銃弾による重傷、大人しくしていてください?」
先程ティーアに行ったことと同じようなことを言われてしまえば、…その言葉通りにする以外ない。
年上であるヴァレリアンに逆らう気力など、今のシリルは持ち合わせていなかったのだった。




