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【ニ万PV感謝ですっ!】魔葬少女【連載版】  作者: 暗黒神ゼブラ
正式編

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第七十五話

第七十五話



校門を潜り抜けた際の違和感に目を向けなかったことを僕は心底後悔した。

漆黒が見えたというのに、朱莉との時間を優先してしまった。

いつもならば死の記憶まで見るというのに僕は見なかった。



「朱莉、足場もう少し右で支えてくれる?」


僕と朱莉は現在、教室に喫茶の壁紙を貼っている。


「風香ちゃん、知ってる? 三年生のところのお化け屋敷が準備のこの段階でものすごくリアルなんだって、この後覗きに行かない?」


僕と朱莉はあれだけの経験をしたけど、やっぱりお化け屋敷はデートとしては定番だよね。


「ちゃんと早崎さんと綾瀬さんに伝えた上で行こう。一応柏田さんにも伝えようか」


委員長、副委員長、文化祭委員の三人に伝えていれば一応は大丈夫だよね。


任された仕事を終わらせた僕と朱莉は三年生のお化け屋敷を覗きに行っても良いかと尋ねると三人とも『仕事をちゃんとするなら』と了承してくれた。


というか他のクラスや学年を覗くために頑張る生徒が多すぎてそういう他ないと嘆いていて、なんだか申し訳なく思いながらも朱莉の手を引き覗きに向かった。



その際に感覚が麻痺していることを後に理解した。

なぜならこれを僕と朱莉は一度目にしていたからだ。


「朱莉、この血糊と肉塊のリアルさ凄いね」

匂いまでリアルにしてるなんて、もしかして動物の生き血とか使ってるのかも。



「そうだね、これなら本番はもっと凄そうだよね。でもこの空気なんだか嫌な感じがする。血の匂いには慣れてないのかな?」


「こういうのは慣れないようが良いよ。……でも、そうだよね慣れてないとこれから戦いにくいと思うから、徐々に慣れよっか」


「風香ちゃん、ちょっとニヤけてない? もしかして目覚めた趣味の方なんじゃないの?」


「ちっ、違うよ。朱莉とこんなふうに文化祭の準備が出来るのが嬉しいんだよ」


「それならいいんだけど」


これを機に朱莉ともっと仲良くなりたい。

まっ、まあ行為自体はしてるから……関係自体は進んでいるんだけど、今まで魔法に使ってばかりだから、普通に思い出を作りたい。


「次のクラスにも行ってみようよ、朱莉」


朱莉を連れて次に向かったのは科学室だ。


「ここでは科学部が生き物を使った実験をするみたいだから、ここでなら準備とはいえ慣れながら楽しめるんじゃない?」


ここには死が僕を突き刺す感覚はある。


でも実験を行う科学室なんだしおかしくはないよね?


だというのに本能が魔女会での惨劇を思い出させる。


いやいや、ここは学校だぞ。

流石にここまでは邪魔はされないと僕は安心しきっていた。


正式な魔葬少女では魔法を作る回路が減る。

逆を言えば思考の回路が減り使い方が大切なのだということをこの文化祭の準備の段階で思い知らされた。


背後から突然拍手の音が聞こえたのは良いんだが、このリズムに僕と朱莉の動きは止まった。


「朱莉、もしものことを考えて一応魔法の準備をしておいて」


この数秒で魔法の発動準備までの速度は試験を合格する前より圧倒的に上がっている。


「……風香ちゃん、背後には誰もいなかったよ」


背後には居ないのだろう、背後には。


「それでこそ正式な魔葬少女になれた咎様の娘、魔法準備が早いのは加点を付けてあげる。しかし警戒するのが遅れたのは減点だね」


なぜこいつがここにいるんだ!?


「朱莉、僕の複製を作る魔法を使って、今すぐに!!」



これなら、朱莉の怪我を僕の複製に移せる。


「源綾音が目の前にいるんだ!!」


朱莉が魔法を使った際には僕の目の前から源綾音は姿を消していた。


「ごめん朱莉、もしかしたら僕疲れてるのかも」


「大丈夫、私も同じ感覚を感じたから」


僕と朱莉が冷や汗を流している間に何やら外が騒がしい。


「ちょっと行ってみよう」


朱莉の温もりを感じて安心しながら僕たちは校門前の広場に向かった。


広場にいたのは源綾音ではなく酔っ払いの女性だったので、去ろうとしたが……誰かが呼び止められた。


「そこの汗ダラッダラの女、ちょっと来い」


僕じゃない、これは僕じゃない。


……なんだこの感覚は頭を誰かに触れられている!?


「お前じゃボケ」


僕の頭を触られている光景を見た朱莉は魔法で攻撃しようとしたので、ここでは止めるしかなかった。


『朱莉待って、もしかしたら敵じゃないかもしれないから』


敵ならば朱莉を狙うか、既に僕の頭は無くなっているはずだ。


ただ撫でられているだけなら、警戒心を残しつつ攻撃は待った方がいい。

こんな大勢の前で魔法を使うのはまずい。



「僕に何の用ですか?」


この女性は質問責めをしてきた。


「いやぁ、お前柚木さんと知り合いだろ。それにあの時何で腕を切断されたんだ? それに再生してるってことは…………だろ?」


魔葬少女ということは流石に伏せたみたいだな。


「話があるのなら、屋上前の階段でしてほしい」


僕が提案すると、女性は転移をしたように姿を消した。


「朱莉その目はやめてよ、今は大丈夫だから、それに目立ってるから今すぐ行くよ!!」


なんだか禁断の逃避行みたいで、楽しいかも……あの源綾音も、もしかしたら疲れが生んだ幻覚なのかもしれない。


僕はそう言い聞かせることで心の安寧を保とうとした。


なぜなら正式な魔葬少女になったとはいえ、今の僕たちでは勝てるわけがないということを分かりきっているからだ。


そして屋上に向かう道中に様々な教室の前を通ったが、本能が恐怖を感じている。

薄ら覗くだけでも血と肉塊が存在していた。


「学校まで攻撃しないでよ、ここは僕と朱莉の最後の日常の場所なんだから」


この本能の恐怖は源綾音の時と同じものだ。


あの酔っ払いの女性にはここまで本能の恐怖を感じなかった。


それに多少の恐怖は感じたが、割合が違う。


酔っ払いの女性には死の恐怖の割合が三割ぐらいだったのに対して、この教室の死の恐怖は九割だ。


教室の方が人間としての死が気配が強い。


酔っ払いの女性には漆黒が染み付いていたけれど、人間にというより魔物を成仏させた際の漆黒なのは見たら分かったが、今の僕の判断が正しいのかは分からない。



そういう点も踏まえて敵ではないのかもしれないと判断した。

実際のところは警戒しておいた方がいいのは間違いない。


あの成仏の仕方が朱莉やみんなに向くのは避けておきたい。


そして魔女会の時と同じもの。



校門での違和感の正体がこれだったのか……浮かれずもっと早く目を向けていればみんなをこんなふうにしなくて済んだのに。


僕は気合いを入れるためと戒めのため両方の頬を全力で叩いた。


教室の黒は漆黒というには薄い。

ならばまだ生きている可能性がある!

死が漆黒ならば薄まるごとに助かる可能性が高まる。


「……っよし! 教室の人たちをまずは治すよ朱莉」


「私は周囲を警戒しつつ、風香ちゃんの傷を転移させられるように準備しておくよ!」


読んでいただきありがとうございます!!

更新は出来る時にしますね

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