閑話その21
閑話その21
深春ちゃんが原因不明の昏睡状態になってから早三日が経過した。
……医者から原因不明だと言われたけれど、こんなことが出来るのは魔法しかないと確信を得ている。
「まあ私にはどうすることも出来ないんだけどね。こんな私如きが深春ちゃんみたいな太陽を起こす事なんて……出来やしない」
私なんて……はぁ。
「…………んん、何を弱気になっているんだ。私の相棒なら……もっと熱くなれ」
「深春ちゃん、まだ安静にしなきゃダメだよ! 攻撃されたんでしょ」
私の心配をよそに深春ちゃんはいつもの調子を取り戻した。
やっぱり私なんかが相棒になっちゃったから、深春ちゃんが攻撃されちゃったんだ。
「……あれは攻撃ではない!! 見てみろ、いつも以上に身体が動くのだぞ!! これは回復だ」
「回復って言っても誰が?」
「おそらくは凛子だろうな。迷惑をかけまいと眠らせたのだろうが、その程度で私が止まるわけがないであろうことは凛子も百も承知のはずだ!! 行くぞ夜千夜、私について来い!」
深春ちゃんは私を照らす太陽で私は誰のことも照らせない影にもすらなれない。
烏滸がましくも私は深春ちゃんに憧れを抱いてしまった。
こんな私が深春ちゃんみたいになれるわけがないのに愚かなことぐらい少し考えれば分かるのに。
「夜千夜、ま~た暗くなってるぞ! そういうのは魔法を使う時だけにした方がいいぞ。気持ちが落ちていたら楽しいものも楽しめないだろ!」
「そうだけど、この方が感情を増やし続けれるし……それにそんな簡単に性格は治らないよ」
深春ちゃんが魔葬少女になったのだって私が隣に居たせいなのに、責めることすらしなかった。
責められて当然なのに。
「深春ちゃんは目が覚めたばかりだし、私が転移するよ」
「ありがたいが、ここは私にさせてくれ!! 私が眠っている間、世話をしてくれていたのだろう。礼ぐらいさせてくれ」
深春ちゃんは返事を聞く前に魔女会まで私ごと転移した。
「滾っているかみんなー!!」
深春ちゃんの声量は大きくて羨ましい。
「久しく見ていませんでしたが、何かあったのですか?」
深春ちゃんに話しかけてきたのは、宮下秋乃さん。
食欲を使う魔葬少女で、深春ちゃんと時々大食い勝負をして深春ちゃんを負かす人だ。
「秋乃じゃないか、今度も熱戦を繰り広げようじゃないか!! ちょっと眠りすぎただけだ気にするな!」
「珍しいね、そんなに眠るなんて……疲れが取れたのならいいのだけれど、どうなの?」
「見てみろこの俊敏さを!!」
深春ちゃんは体力テストの時より素早く反復横跳びをし始めた。
「そのぐらい動けるのなら大丈夫そうね」
深春ちゃんは宮下さんに別れを告げて依頼を受けに行ってたよ。
……私はただついていくだけの腰巾着にしか見えないんだろうな、実際その通りなんだけどさ。
「凛子を見なかったか!!」
受付の人に元気よく質問していたけど、よく分かっていない様子だった。
私でさえ分かっていないのだから、当然だよね。
……はぁ、なんで私は何も知らないんだろう。
深春ちゃんは受付の人に特徴を伝えると、どうやら居場所が分かったみたい。
「森に向かったあの女性ですね」
私よりも受付の人の方が深春ちゃんへの理解があるなんて……羨ましい。
「どうやら凛子は風香たちと森の方へ向かったようだ。私たちも向かうぞ!!」
森にきた私と深春ちゃんは凛子さんって人を探している。
このどう考えても森じゃない暗さは特に落ち着くから私は好きだなぁ。
怪しさ満点で……危険な感じは、特に嫌だけどね。
「夜千夜にはその笑顔の方が似合うぞ!! その調子だぞ!!」
「もしかして顔に出てたの?」
私と深春ちゃんは凛子さんという方を探すために森に向かった。
森だから、私みたいな暗闇好きが集まっていた。
「目覚めの運動がてら根を上げさせるかなっと」
「同類は私が昇天させたい。ダメかな深春ちゃん」
「私は構わないぞ!」
深春ちゃんの許可も貰えてよかった。
「この子達は正式な魔葬少女の魔物なんだね。やっぱり堕ちても堕ちなくても暗いところは落ち着くよね」
同類の子が、十四人もいるなんて……こんなに友達候補がいるなんてこの子達とはどれぐらい遊べるかな?
「"みんなで仲良く落ち着こう"」
召喚魔法・遊具
「まずはシーソーから、そこのトカゲちゃん遊ぼう」
私の魔法は人数を指定し遊具で遊ぶことを強制する。
……みんなで遊ぶのが地獄でも日陰を照らす深春ちゃんみたいな太陽に私もなれるかもしれない。
そう思ったらこの魔法が誕生していた。
遊んでいる中、嫌な予感がした。
「遊びはここまで、みんなには事故に遭って昇天してもらう」
パチン
「チェックメイト……なんちゃって…………ははっ、何やってるんだろ私、はぁ」
「相変わらず燃えるようなその魔法は熱い、熱いぞ!!」
同類を昇天させた私は深春ちゃんに、嫌な予感のことを話した。
「深春ちゃん、この森の暗さに違和感を、感じるの……ほら、あそこみて」
私が指をさしたのは異常な高さに存在する森林の木だ。
「なんか、地面が低い感じがするんけど……こんな私がそう感じるだけだよね。ごめん深春ちゃん、気にしないで」
「夜千夜がそういうなら調べる価値があるな!!」
私の魔法には危機関知能力も備わっている。
……関わりたくない存在から逃げるための防衛本能みたいなものなのに、いつも深春ちゃんは信じてくれる。
深春ちゃんに甘えてばかりだけど、こんなことぐらいしか役に立てないのが、私って感じだよね……はぁ。
魔法だから、やっぱり同類の子をバラしてしまうのは……友達になれなくて嫌だなぁ。
読んでいただきありがとうございます!!
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