閑話その20
閑話その20
「…………はぁ、つまらないわね。貴女たちはそれでも本当に正式勢の魔物なの?」
「うるっさいな、これでも私は二十年は魔物やってるんだよ! なんで身体が動かないんだよ、先輩たちにどの面下げて変えればいいんだよチクショウ」
二十年ならばあの魔法の威力も納得出来るわね。
あんな威力の魔法初めて見るわよ。
おそらく私より上なのは間違いないわね。
そうだとしても、支配が通じるこのレベルなら対処は幾らでも可能なことに変わりはないわね。
「なんで身体が動かないの問いに答えてあげるわよ。私の魔法が支配だからよ」
「支配系なら、何かしら動作が必要だろうが! そんなことお前はしてないだろ!」
「してない? 何言ってるのよ、私が呼吸してるじゃない。呼吸一つあれば簡単よ」
動作も深呼吸で発動出来て便利な反面普段は感情消費が多すぎて常時オンだとすぐ半分以上尽きかけてしまって魔を取り込まなければならなくなる。
そうなると魔法を使う前の位置まで感情を戻すのに時間がかかってしまう。
そうなったら香澄と過ごせる時間が減ってしまう。
だから普段は呼吸だけはオフ状態にしているのだけれど、依頼となれば別よ。特に正式勢の魔物相手なら尚更よ。
依頼ならばいつも以上に欲望に忠実になれる、だからこそ出来る芸当でもあるのだけれどね。
「さて、貴女がこの群れのボスだってのは分かってる。貴女の知っている全てを話しなさい、嘘偽りなくね。そうすれば殺さないであげるわよ」
殺しはしないけど、壊しはするけれどね。
「分かった話す、話すから殺さないでくれ!」
こんなのが群れのボスを務めているなんて、私が成仏させた子達が報われないじゃない。
「もう話さなくていいわよ、記憶を見るから何もしないでいいわよ。"博伝の追憶"」
支配下に置いた相手の記憶を抜き取ることが出来る……香澄に悪い虫が憑かれては困りますからね作って当然の魔法なのよね。
私たち魔葬少女がどれだけ無知なのかをこの子の記憶が叩きつけてきた。
なっ、なんなのよこの記憶は……魔物の序列に指揮系統まで、しかし肝心な頂点のことも上位のことも知らないのでは上手く作戦が立てられないわね。
しかし中位の魔物の情報があるだけでも私たちで対処法を立てることが出来る。
……しかしなんなのよ。
二十六期に三十七期……それにこの子の記憶で強く残ってるのが十五期って。
この子、十五期の名前を一人覚えている。
朝倉凛子……か、千紗先輩が昔に話していたお婆様と同じ名前というのは、偶然ではないのかもしれないわね。
千紗先輩がいなくなったのと、何か関係があるのなら……知る必要があるわね。
千紗先輩から会長としての業務を教わったお礼も未だ返せていないというのに。
感傷に浸るのはここまでにしないと、支配欲が弱まれば呼吸の支配が解けてしまう。
この子相手に通常の支配だと圧倒的に支配時間が限られる。
……人数までは覚えてさえいればもっと役に立ったというのに……しかし、情報が手に入っただけでも今回は満足としましょうか。
意外な収穫だという事実は変わらないのだから。
この子には"支配下における確実なる生"はオフにしておきましょう。
この子を壊すのはつまらなそうだしね。
「貴女の覚えている情報は貰ったから、もう死んでいいわよ。自らの手で成仏なさいな」
「いっ、いやだ……やめてくれ、せっかく魔物としてでも生きていられるってのに……解除してくれれば、役に立ってみせるから……助けてくれよ!! 嫌だ嫌だ嫌だ…………」
「じゃあね」
「嫌だぁァァアァアア!!」
この情報があれば……香澄ともう少し、生きられるわよね。
香澄に千紗先輩のお婆様のことを知っている魔物がいたことを話さないといけないわね。
それに魔女様にも伝えないといけない。
いいえ、魔女様のことだからとっくに知っているわよね。
私たちはまだ堕ちるわけにも死ぬわけにもいかないのよ。
本当はさらに効率よく感情を増やせれば常時オンに出来て香澄に魔法を使わせずに済むのに……私の力が足りないから、魔法を使わせてしまう。
期の数字が少なくなるに連れて強くなるのなら、一桁なんて想像するだけでどうにかなりそうね。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




