第七十話
正式編始まります
第七十話
目を覚ました僕は、隣で眠っている朱莉の手を握ったのだけど、安心してしまい涙が溢れてしまった。
「朱莉、僕たち正式な魔葬少女になれたね」
その後医務室の扉を開く音が聞こえ顔を向けると、朝倉さんが立っていた。
「ふぁ~、まだ疲れが残ってるでしょ~。ちゃんと疲れを取らないと後々響くよ~」
朝倉さんの声を聞いていると徐々に眠気に襲われ、僕は眠ってしまった。
あの時と同じく目を覚ますと疲れが取れている。
「……んん、おはよう風香ちゃん。……試験はどうなったの!?」
鬼気迫る表情で聞いてくる朱莉を安心させるために魔女様から言われたことを伝えた。
「……そっか、ひとまずは安心だね」
そう口にする朱莉の表情は安心したようには見えなかった。
「まだスタートラインに立ったばかりだもんね僕たち」
元の生活に戻るためには僕たちには圧倒的に全てが足りない。
「それでね~二人にお願い、というか依頼があるんだけど、聞いてくれるかな~?」
身体が動かない……これ拒否権のないじゃないか。
「記憶は見せてもらったけど~、現場を見てないからね。連れて行ってほしいと思ってね~」
朝倉さんはポケットからピアスを取り出した。
「これがあればね~、残り二回までなら時間を指定して睡眠拒否して動けるんだよ~。徹夜したい時とかに使えて便利だよ~、アタシは食べたいものがいっぱいある時に使っちゃったから残り二回になっちゃってごめんね~」
睡眠拒否……香取雛との戦いで必ず必要になる物になる。
睡眠拒否であれば、香取雛の強制睡眠を無効出来る可能性がある。
その可能性が存在するだけでたとえ拒否権があろうと僕たちにはこのピアスは貰うために手に入れる理由になる。
「朱莉、受けるよこの依頼」
宣言と共に身体の自由が効くようになった。
朱莉の了承を聞いた僕は詳しく依頼内容を朝倉さんから教えてもらった。
「依頼内容なんて簡単だよ~、千紗ちゃんを見つけた場所にアタシを連れて行くだよ~。二人の時間の無駄にはさせないから安心していいよ~」
「……そういえば朝倉さん、高槻さんはどうしたですか?」
「お疲れだったみたいだから~、眠ってもらってるよ~。帰った時にまた味噌汁飲みたいからね、死なせるわけにはいかない……からね~」
今の間はなんだ、それより間が出来た時の瞳が気になって仕方ない。
黒を青が混じって見えてしまった。
それと同時に疑問に思ったことがある。
朝倉さんが十五期の魔物ということは咎の指揮下ということになる。
こんなに簡単に入れていいのか?
「朝倉さんは魔女様から入室の許可を貰ったのですか?」
「貰ったよ~、アタシの知ってる情報全部話して毒島先輩に頼んだら協力してくれることも話したら~オッケー貰ったよ~」
確かに情報は必要だが、そんな簡単に許可してもいいものなのか?
その毒島先輩というのがどういう人なのかは知らない。
だけど十五期の魔物の朝倉さんの先輩ということは、かなり強力なのだろう。
僕が考え事をしていた際、朝倉さんは声色を変えて話しかけてきた。
瞳を見ると両目とも青になっていた。
「お前ら、アタシがこんな簡単に入れたことにも疑問を抱いているだろ。実際のところを教えてやる」
朝倉(青)さんは背後を指差したので目を凝らして見ると、魔女様らしき人物が立っていた。
「魔女様の分身が、しっかりと監視付きだ。それとそのピアス雛の悪夢には効くかどうかは確率な上でに半分以下だから頼りすぎんなよ。おい、分身も何か話せ」
朝倉(青)さんが分身の人を無理やり話させた。
「三日ぶりの目覚めを祝福しよう。はっきりというがそのピアスはよしておけ、今の母には通用しない。母の強制睡眠への対抗手段としては使えない、だが"それ以外"でなら使い道はある。例えば魔法の開発や改良など時間が必要な時だ」
そうだとしても、今の僕たちに必ず必要になる。
今の魔法の数や質でも擦り傷すらつけられないのだから朱莉と強くなれるのなら使えるものは全て使う。
元の生活に戻るにはそれ以外方法がないのだから。
「風香ちゃん、雛対策なんだけど愛海さんに力を貸してもらうのはどうかな?」
「愛海さん……か、それなら僕と朱莉が眠ったとしても身体を支配で動かしてもらえる。だとしても眠っている時の外の時間と夢を見ている時間が対応出来るかどうかもある」
「……香澄さんにも頼めば結界の毒で少しでも時間を稼げないかな?」
あの二人とも、僕たちに見せたのは加減をした力の一部だ。
ならば本気で雛にぶつければ……少しでも時間稼げるのではないか?
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




