第六十八話
最後の方の描写ではちゃんと二人を朱莉の魔法で年齢を上げています。
第六十八話
「ただいま〜!!」
どれだけ声を張り上げても、返事は返ってこない。
母さんは魔女様のところにいるのだから当然だよね。
「風香ちゃん、おかえりぃぃぃ!!」
僕の隣で声を張り上げて一生懸命おかえりと返してくれる朱莉を見て……やっぱり、朱莉のこと好きだなと改めて感じた。
それと同時に、二年後には生きて朱莉と……け、結婚出来るように絶対に死ぬわけにも堕ちる訳にもいかないんだ。
「ねえ、風香ちゃん、準備て汗をかいたから一緒にお風呂入ろうよ!!」
手を引かれて走る僕だけど、以前と比べて体内で映画が上映中なのかと錯覚するほど心臓の音がうるさい。
「ほら、風香ちゃんも脱いで。そんなモジモジしないで」
「でっ、でも……やっぱり恥ずかしいんだけど」
朱莉は僕の服と下着を『えい』の一言で脱がした。
「ちょっ、ちょっと朱莉!?」
「風香ちゃんが恥ずかしい理由なんて少し考えればすぐに分かると思うけどなぁ。例えばあの時と今の違いとか」
朱莉の助言を聞き入れ思い出していると、あっという間に理解した。
「あっ、あの時は僕自身が朱莉のことを好きだって気づいてなかったから、それで?」
気づいたのに、思わず疑問形で返してしまった。
「分かりやすいでしょ、風香ちゃん。余計に赤くなってない?」
「だって、恋人同士でお風呂って初めてだから……僕自身どういう気持ちで臨んだらいいのか分からなくて」
朱莉の手の温もりが頭を包まれたと感じたら、即座に朱莉に連れられた。
「そういうのは、慣れだよ慣れ!!」
慣れ……か。そうだよ、将来結婚しようとしてるんだから、これぐらいで日和ってどうするんだ僕!
「風香ちゃん、風香ちゃん」
朱莉はペチペチと僕の太ももを叩きながら質問をしてくるのを見て、可愛いと感じてしまった。
「どうしたの朱莉」
「シャンプーとトリートメントが増えてるけどどうしたの?」
朱莉気づいてくれたんだ、嬉しいな。
「朱莉の綺麗な髪に合うように選んだんだ。まあ店員さんに色々聞きながら買ったわけだから、僕一人で買ったわけじゃないってところは許してほしい」
朱莉は首を横に振りながら嬉しいことを言ってくれた。
「別に気にしなくていいよ。風香ちゃんが私に合う物を買おうとしてくれたこと自体が幸せなんだから!」
そう言った直後、朱莉は可愛いくしゃみをした。
「……くちゅん」
「そろそろ洗って入ろっか」
前回同様朱莉の頭を僕が、僕の頭を朱莉が洗うことにした。
それは良かったんだけど、次の朱莉の提案には流石に困惑してしまった。
「今度は身体を洗い合わない?」
恋人同士なら普通なのかもしれないけど、僕にとってはこの状況でさえ恥ずかしいのに洗い合うなんて恥ずか死してしまう!
「大丈夫だよ風香ちゃん、お風呂から出たらさらに凄いことするんだから。気にしちゃダメだよ」
聞き返す前に朱莉が僕の身体を洗い始めた。
「……ん」
「ちょっと声出しちゃダメでしょ風香ちゃん!」
「だって、くすぐったいんだよこれ!」
朱莉は僕の身体を洗いながらお風呂から出た後のことを話し始めた。
「お風呂から出たら、森での続きしたい。もしかしたら今日が最期になるかもしれないでしょ、だから出来る限り愛し合いたい」
「森での続きってそれって香澄さんと愛海さんがしてたやつになるけど!?」
「だからそう言ってるでしょ」
それだと、僕が獣になってしまうんじゃないのか?
それはダメだ。
僕が自己否定していると、朱莉が耳元で囁いた。
「獣になっていいんだよ風香ちゃん」
そう言ってくれるけど、そうなったら場合朱莉が傷つくかもしれない。
思考を読んだ朱莉は僕を納得させるために言葉を並べた。
「あの行為をすれば風香ちゃんは私を失いたくない気持ちが増えるでしょ、そうなれば強い魔法が使いやすくなって二人とも生き残れる」
これが一つ目だ。
「感情を押し殺すのはいけないって愛海さんにも言われたでしょ、だったら素直になった方が感情をコントロール出来て試験に合格しやすくなると思うよ」
これが二つ目だ。
そして三つ目を聞いた僕には拒否する理由がなくなった。
「私は風香ちゃんが嫌じゃなければ、愛し合いたい。風香ちゃんが、夢の中で『僕だけの朱莉』って言ったみたいに私だけの風香ちゃんにしたい」
朱莉も思い出したのかとそう聞こうとしたが、首を横に振った朱莉は短く『風香ちゃんの記憶を見ただけ』とそう答えた。
「分かったよ朱莉、僕も覚悟を決めるよ」
その後十五分ほど、お風呂で浸かった。
僕は朱莉に明日のことを話そうとしてたんだけど……もう少し後でもいいかな。
そして午後十時、僕の寝室に入った朱莉は一言聞いてきた。
「風香ちゃん、覚悟は決まった?」
僕は弱々しくも頷いた。
朱莉は魔法で二十歳まで年齢と姿を弄るとなんか凄いことを言い放った。
そして事実、朱莉と僕の姿は少し大人びた。
チュンチュンチュンチュン
「朝になってるんだけど!?」
朱莉は昨晩のことで僕を煽ってきた。
「風香ちゃんって獣は獣でも子犬だったね」
「仕方ないでしょ…………気持ちよかったんだから、それをいうなら朱莉なんて蛇みたいだったし」
朱莉が口を開く前に僕は昨日話す予定だったことを無理矢理話した。
「そっ、それよりも明日正式な魔葬少女になる試験をしようとしたんだけど、もう今日になってるんだよ! 支度して急いで向かわないと!」
上手く話せた自信がないぞ僕!!
「うん、昨日聞いてたから誘ったの」
だと思ったよ朱莉のことだから、実際のところ、朱莉言った通り失いたくない気持ちは強くなったのは事実だ。
「朱莉、ありがと」
朱莉はニヤケながら『またしようね風香ちゃん!』と声を張り上げながら伝えてきた。
僕は軽く頷きながら支度を整えた。
それにしてもいつの間に朱莉はそんな魔法を作ったのだろうかと疑問を感じながらも昨晩を思い出しては赤くなるを繰り返しす僕であった。
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