第六十七話
第六十七話
「ふぁ~メモに記されたお店はここで合ってるよね~?」
朝倉さんに確認された僕はメモを見せながら合っていると答えた。
「なんだか~、前に来た時と雰囲気変わってるね~」
朝倉さんの気怠げな雰囲気には少し気持ちが楽になる。
高槻さんが思いっきり扉を開き、お店の雰囲気を見るも無惨に破壊した。
「朱莉、赤の他人ってことに出来ないかな」
「無理だと思うよ風香ちゃん。だってこっちに手を振ってるし」
「だよね。ものすごく視線が痛いんだけどどうにかならないのかな」
「安心して風香ちゃん、私も痛いよ」
魔葬少女の日常から一時的に離れたとは言え……やっぱりこの生活を朱莉やみんなと一緒に過ごした。
こんな幸せな時間を。
そう考えても無駄だということは、今の僕が一番理解している。
ならば、せめて元の生活に戻るまでのこの片時の平穏だとしても楽しもうじゃないか。
「朱莉、行こう。高槻さんと朝倉さんのところに」
満面の笑みで答えてくれた朱莉をつれて僕は朝倉さんたちに教えてもらいながら茶葉を選んでいる。
「お茶ならこの天竜茶とか、香りも味も楽しめていいと思うよ~、少し甘めだから濃いのが好きな子には狭山茶とかいいんじゃないかな~。紅茶なら、甘いのだったらはちみつ紅茶かな~、しっかりしたのが好きならアッサムとかいいんじゃないかな~」
なるほど、さっぱり分からない。
けど、作ってみんなで飲んでみよう。
「朱莉は何か飲みたいのあるの? あるなら僕が買うけど」
朱莉は首を傾けながら、アールグレイの茶葉を手に取った。
「これかな?」
朱莉の選んだアールグレイの茶葉と朝倉さんから勧められた茶葉を買った。
……流石にティーカップは僕と朱莉で選ばないと、買い出しにならないよね。
「あの、朝倉さんカップは僕たちで選ばせてくれませんか?」
ここにならティーカップ以外にも湯呑みなども売っている。
色々買って文化祭委員の柏田さんが選べるようにしよう。
まあ完全な僕と朱莉の好みになるけど許してくれるよね。
そして様々なカップを購入した僕と朱莉は高槻さん、朝倉さんと別れ学校に戻ろうとした。
「…………二人ともなんでついてくるの!? ついてこられても学校には入れられないよ!」
少し強めに伝えても高槻さんたちには効かなかった。
「安心してくれ、私はこの高校に推薦で入学することになっている。許可さえもらえれば入ることが可能だ! 凛子のことは保護者代理とでも伝えればどうとでもなる!!」
……もう諦めよう。
高槻さんを説得しようてとして本当に熱意でどうにでも出来そうなのが怖いんだよな。
「分かった、だけど絶対に魔法は使わないでよ。せめて今だけは普通の高校生として過ごさせてほしい」
頭を下げたタイミングが朱莉と揃ったことには驚いた。
けれどそれ以上に高槻さんが涙をこぼしながら了承したことの方が僕と朱莉は驚いてしまった。
「分かった、魔法は絶対に使わない。二人のここまで熱い思いを受けてしまっては、使うほどが失礼というものだ!!」
欠伸をしながらも頷いた朝倉さんには熱くさせないようにしないと、みんなを眠らせれては……せっかくの平穏な日常がいつもの日常に戻ってしまう。
買い出しを終えると放課後だったこともあり、僕と朱莉は内装作りや小道具制作が中心となった。
その間、高槻さんは接客担当の人たちに迷惑客が来た時の対処法の練習として迷惑客役をしていた。
声が大きすぎて廊下まで丸聞こえだったのはいうまでもない。
その日の準備を終えた僕と朱莉は高槻さん、朝倉さんを説得し別れた。
「朱莉、今日僕の家に泊まらない? 明日のことで話があるのと…………朱莉と過ごしたいから」
明日は土曜日ということもあり学校は休みで準備で集まるのは日曜日だ。
なので僕は朱莉と正式な魔葬少女になるための試験を受けようと思っている。
おそらく今受けないと準備を抜け出すか休まないといけなくなる。
それは嫌だ、朱莉やみんなと思い出を作りたい。
この生活をまた"普通"にするために。
そして今のうちに作った思い出は再び僕が一線を越えようとした時に踏み止まらせてくれるとそう信じている。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




