第八話
第八話
結局僕と利根島さんはアイツから顔合わせ相手の情報を一つも聞けていない。
顔合わせ相手の情報なら聞けば教えてくれるのか?
いいやたとえ聞けたとしても信じてもいいのかが甚だ疑問だ。
僕が疑いの眼差しをアイツに向けると利根島さんが、僕の代わりに質問した。
「顔合わせ相手ってどんな人たちなのか教えてもらうことって出来ますか?」
聞かれたアイツは睨み付けて朱莉に一言投げつけた。
『言って何の意味があんの?』
答えてすらくれないのかこいつは。
「案内するなら、早く案内して」
僕に急かされてこいつはキレ気味に魔法を使った。
「そんならとっとと案内してやるよ」
こいつが使った魔法は転移だった。
僕はこいつの転移の魔法を味わって不覚にも少し羨ましく感じてしまった。
この魔法があれば危険な時に朱莉を逃すことが出来る。
「ななななんですの!? とと突然目の前に人が現れましたわよ!」
「そうだね」
「美月はもう少し反応したほうが良いと思うのですけれど!?」
「私、上手く反応……出来ないの?」
「出来てませんわよ!」
この二人が顔合わせの相手ってことで良いのかな。
「二人とも可愛いな」
僕の口は絶対に出してはいけない言葉を出してしまった。
「違うの朱莉、僕が大切なのは朱莉だけだから!」
「もう、風香ちゃん……言われなくても分かってるよ」
僕と朱莉の会話を聞いた茶髪の子が僕たちを見て引いたように口を開いた。
「やっぱりこの子達苦手」
僕としては利根島さん以外になら苦手って思われても構わないけど、魔葬少女として考えれば協力出来ないのは致命的だよね。
銀髪の子は茶髪の子を安心させるためなのか、声高に僕に話しかけてきた。
「確か風香さんでしたね。私は霜月葵、先ほど距離をとったのが、コンビの松島美月ですわ! ちなみに私たちの魔法を見れば驚くこと間違いなしですわよ! 行きますわよ美月」
美月と呼ばれた茶髪の子はこくりと頷き魔法を使った。
「死せよ、食糧」
「いつ聞いても物騒ですわね。私も行きますわよ"楽園への誘い(スーサイド・パクト)"」
松島さんの魔法は対象を喰らう暴食の魔法で霜月さんのは五感を奪い毒で身体を蝕む魔法という感じだ。
「風香さん、凄いですわね。この魔法を味わって叫び一つあげないなんて……それでこそ顔合わせの意味がありますわ!!」
「もうやめない? 苦手だけどやりすぎじゃない?」
「そうですわね、顔合わせにしてはやりすぎですわよね。戦闘ではありませんものね」
二人が魔法を解いたので、僕は利根島さんと自己紹介をした。
利根島さんは二人に怒りを表していたが、僕が宥めたので穏便に済んだ。
……昔の自分とかけ離れてるのは実感出来る。
「ようミコト、オメェのとこの雛変わったよな」
「そうなの、一人変わったんだ。あたしが食べちゃって」
「そうじゃねえよ、ガキの一人が魔…………」
「それは今はダメだよ。調理中なんだから」
「そういうことか。その時は僕も呼んでよ」
「いいよ〜、せっかくだし他のみんなも呼ぼうよ」
こいつら何の話をしてるのかよく聞こえないけど、絶対何か企んでいるのは分かる。
調理中ってなんだ、それにガキの一人が魔って…………魔物に変えている最中ってことなのかな。
そんなわけないと思いたくてもこいつらならやりかねない。
顔合わせを終えた僕たちはアイツらの提案で魔物退治に向かうことになった。
読んでいただきありがとうございます!!
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