第六十二話
第六十二話
「さ~てみんな仕事の時間だ」
中継さんの掛け声と共に家政婦たちに僕と朱莉は床に叩きつけられた上に押さえつけられた。
「朱莉に何をするつもりだ!!」
魔法で強化しているにも関わらず、びくともしない。
中継さんは、僕を見ながらも本当に見ているのは咎だと理解してしまった。
「君が咎の子だってことは魂を見ればすぐに分かったよ。だからあやかし少女を壊した咎の始末に利用させてもらう、悪く思わないでね」
中継さんの拍手の音と声が鳴り響いた。
「さあ、身体が変わり始めるよ。お二人さん、ものすごく痛むから覚悟して」
覚悟する暇もなく痛みが襲ってきた。
「………り、手…………」
朱莉の手を繋ぐ前に何度も何度も僕の意識は途切れた。
次に目を覚ますと隣で骨を砕くような音が聞こえ、見ると中継に朱莉が骨ごと喰われていた。
「おい、中継朱莉に何をしてる」
中継は喰らうばかりで返事をしなかった。
「どけ、家政婦」
恐怖を利用し最大限身体強化し、家政婦の胴体をバラした僕は魔法で槍を作り頭を貫いた。
「朱莉に何をしていると聞いているんだ!!」
咎に朱莉を殺された時みたいにしていたら、僕が僕じゃなくなる。
「何って、不老不死になったか試してるだけだけど? 君にもさっきやったよ。首の辺りと右肺の辺りを見てごらん、再生跡があると思うから。それにやるなら意識がないと気にしなくて余計に痛むでしょ……一応優しさなんだよ」
「だとしても、今すぐやめろ。朱莉は僕だけの恋人なんだ……これ以上続けるなら脳をグチュグチュに掻き回したドリアにするぞ」
朱莉と約束したんだ、獣にはならないと……だからこれ以上は本当にやめてくれ。
「したいならすれば良いよ。脳がなくなったぐらいじゃすぐ再生するから」
「……僕はこれ以上獣になりたくないんだ」
だから冷静に殺す。
実際に不老不死になったのなら、死の恐怖を足すためには今まで以上に身体を傷つけなければならない。
それだと朱莉に嫌われる。
まずは不老不死になったかどうかを試さないと魔法を作るかどうかも決められないか。
試すために自らの下半身を切断し心臓以外の臓器を出した。
ごめん朱莉今だけは許して。
これだけなら不老不死じゃなくても治せるから。
相変わらず僕の身体もおかしくなったよな、昔はこれだと死んでいたっていうのにな。
すると回復魔法を使う前に全て再生した。
その光景を見た中継は安心したように笑みを浮かべた。
「これなら、身体は大丈夫そうだね。こっちの子もすぐに終わらせるからちょっと待ってね」
僕が中継に刺さっている槍を動かそうとした瞬間朱莉が心の中で話しかけてくれた。
『風香ちゃん、安心して。この人私の溶けてきてるところを食べて治してくれてるみたいだから辛いと思うけど少し待って』
溶けている場所食べて治す……病気になった箇所の食べ物を食べて治すようなものか。
だとしても……この光景を見るのは、僕には……堪えられない!
「獣になるな僕……抑えるんだ」
獣になるということは正式な魔葬少女から離れてしまう可能性がある、それだけは避けないと朱莉を守れなくなる。
一分後
「終わったよ」
中継は僕の前に立つなり、頭を撫でてきた。
「よく頑張ったね。目の前で恋人を食べる光景を見せてごめんね。あとはここで少し休んでいって」
バラした家政婦はすでに治っており、僕と朱莉に料理をくれた。
「お二方これで精をつけてください」
僕はバラしてしまったことを謝り、朱莉と共に作ってもらった料理を食した。
食している最中、中継……さんは僕と朱莉にある妖怪を紹介してくれた。
「お二人さんここまで走ってきたなら、距離が離れる場所ほど行きづらくなるだろ。まだ若い雲外鏡で良ければ紹介するぞ。まあ、幼すぎて時間移動が出来ずに転移ぐらいにしか使えないけどそれでも良ければだけど」
僕は疑問に思ったことを中継さんに質問した。
「なぜ必要だと思ったのですか?」
「だってお二人さんは魔葬少女なんだろ? しかも感情の消費を見るにまだ新人だろ。それなら感情消費を抑えるために必要だと思ってな」
なぜ魔葬少女だと分かったのが聞くと、どうやらこの村にもスパイとして魔葬少女になった人物が何名かいたから分かったそうだ。
「いた……ということは」
「全員帰ってこなかったよ。子供達には私より長く生きてほしいって考えたのに……親としては失格なんだ。だからせめて君たちには長く生きてほしいんだ、利用させてもらうと言っておいてなんだけどな」
今の僕と朱莉に受け取らない選択肢はない。
咎を殺し、みんなで元の生活に戻るそのためには必要だ。
だが受け取ったとしても転移魔法と蘇生魔法を覚えない理由にはならないのは確実だ。
「「ありがとうございます」」
「食べたら少し休んでくれ、あとは好きに使ってくれて構わない」
僕は食した後朱莉と再び取材メモを開いた。
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