第四十七話
第四十七話
僕と朱莉がゲーム屋さんに来ていると、ものすごくデカい声でゲームをしている人がいた。
「なんだこの仕様は!! ここは主人公から告白させるべきところだろ! キャラも良いんだからそこを活かすべきだろ、よくよく考えてみれば中身と外見がぐちゃぐちゃにすぎないかこの主人公! そういえば主人公ゾンビだったわ、ぐちゃぐちゃなのも当たり前か、あはははは」
一体どんなゲームをしているのかすごい気になる。
主人公がゾンビなのに相手から告白とかキャラが良いとか……気になる。
ゾンビってことはR18だよね、僕たちじゃ買えないよ
というかゾンビに告白したのだれなの
「あー、気になる!」
「しー風香ちゃん、声に出てる!」
ゲームをしていた女性も含め周囲の人たちが僕らを見ている。
叫ぶんじゃなかったと後悔しながら、僕と朱莉はゲームを選んでいる。
するとさっきゲームをしていた女性が僕たちに話しかけてきた。
「私がやっていたゲームが気になったのだろう、いいぞ譲ってやろう! その代わりゲーム機本体は自分たちで買うんだぞ。それと知らない大人にはもっと警戒をすべきだと心に刻むべきだな」
相変わらず僕は学ばないと痛感させられる、この女性が魔葬少女だということに気が付かなかったのだから。
転移させられた僕と朱莉を待っていたのは源綾音が魔女会で行った地獄より酷いものだった。
双方人間が肉塊に近い状態なのは変わらないとして源綾音の時は肉塊は話せなかったが、今回は話せる状態で残されていた。
「安心しろこいつらはそこら辺を歩いていた一般人だ。魔葬少女の方が痛めつけやすくていいんだ。知ってたか絶望は一般人の方が見やすくていいが、味に関しては魔葬少女の方が良質なんだぞ。まあ時々魔物を魔葬少女に戻すような邪魔者も存在するがな。雛に横取りされてしまったがな」
魔物を魔葬少女に戻せる魔法が存在するのか、これは良いことが聞けた。
それと今は肉塊になった人たちを元に戻さないと、朱莉の目に毒だ。
……しかし、もう少し見ていたいな。
「風香ちゃん、それ以上はダメだよ」
ダメと言われても歪みが消えても絶望の表情を考えてしまう。
朱莉の時のような高揚はないのが救いだと安堵してしまう反面に、この思考が常態化している時点が全く救いじゃない。
しかしこれで、恐怖を朱莉以外から取り入れられれば魔法を使う時に感情消費を減らすことが出来るはず。
感情のコントロールでの連想ゲームでなら使っても良いのではないだろうか?
恐怖を朱莉だけに頼っていては感情の暴走が起こりかねない。
源綾音の時のように危険だと感じた時に朱莉関係の恐怖を使うことにすれば暴走を極力抑えられる。
正式な魔葬少女になる最低条件が感情のコントロールならば、使い方や種類も含まれているはず……僕は今まで全ての魔法で朱莉関係の恐怖を使っていた。
威力は出た分暴走する結果になってしまった。
肉塊になってしまった人たちには不謹慎かつ失礼極まりないが、僕の生き残りに利用させてもらう。
そのために、今回は治ってもらう。
絶叫がここまで心地よく感じたのは、僕の人生で初めてだ。
クラシックを聴きながら勉強をしている時のように周囲が拓けて見える。
「そろそろ考えて事は終わったのか風香」
「終わったと言っておく。目的は僕なのだろう、父さんに命じられてきたとでもいうのだろう?」
予想通り、僕を父さんからの刺客だった。
刺客と呼ぶのは違うか、被験体兼信者……父さんを神と崇める集団……何と呼ぶべきか、Vtuberのファンっぽく、トガびととでも呼ぼう。
絶叫のおかげで頭が冴えて新魔法まで思いついてしまった。
「……そうだ、この声を録音しておこう。そうすれば誰かをこれ以上傷つけずに済む」
僕は録音しながら新魔法を試した。
新魔法の名前は、"嘆きの行進曲(グリーフマーチ"としよう。
効果は考えいるが、トガびと相手にどこまで通用するかを今試してみよう。
「新魔法を試したいのだけど、受け止めてくれないか?」
この女のおかげで苦労して脱皮した後の清々しさのようなそんな気分を味わえたのだからお礼も兼ねて。
「大丈夫だよ、僕は凄く冷静だからそんな心配そうな顔しないで」
僕は気づいてしまった、この女の名前を聞いていない。
「名前を教えてくれないか?」
新魔法に名前は必ず必要なのだから聞き忘れてはいけないではないか。
「名前だと? そんなの聞いて何になる」
この女の頑なに答えない姿勢に勝手に問い詰めてしまった。
「教えろと言っているのが聞こえないのか?」
思わず命令口調って言ってしまった。
「もっ、申し訳ありません咎様!! わたくしは七期目の被験体の冴木満でございます!」
なぜこの女は跪いているのだろうか?
名前は知ることが出来たことだから試そう。
まずは声のチューニングからしなければ。
新魔法は相手の一番恐れている声で催眠状態に陥れるただの強制催眠の魔法だ。
『今日貴様はゲームをしただけで風香には出会っていない、よいな』
父さんの声はこんな感じで合っていたか。
「…………それは……って何しようとしてんだ風香は!!」
やはり効かないか、良いと思ったのだかな。
「ねえ、秋口風香ちゃん……だよね?」
「何を言っている朱莉、どこからみても僕は風香だと言っても差し支えないと思うが?」
朱莉は何を言っているのだろうか?
朱莉はなぜそのような合否の確認をするときの不安が満ち満ちている瞳をしているのだ?
僕の表情を確認した冴木満は満足気に姿を眩ました。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来るときにしますね




