第三十六話
第三十六話
調査のために琴桐さんが案内したのは廃村だった。
「千佳いつも通りでお願い、いつも通りでね!」
「そこまで念押ししなくても大丈夫だって沙知ちゃん。それじゃあ行ってきますっ」
佐江さんの魔法はサイズの変化だけでなく。分裂まで出来たのだ。
……なんかこの光景砂糖に群がる蟻みたいだな。
「風香くんは私がどんな魔法を使うと思うか想像してみてくれ」
琴桐さんは突然僕にそう言ってきた。
「琴桐さんが使いそうな魔法か……なんだろう、新聞部だし自分の知りたいものの場所が分かる魔法とか?」
「つまりは探索魔法と」
メモ帳に"探索魔法"と記した琴桐さんは少し間をおき答え合わせをすると宣言した。
「正解はね、記したことを現実にする魔法さ。例えば朱莉の背後の木にパフェと記せば記された木はパフェに変わる。味は折り紙付きさ」
目で見た方が早いだろう木にパフェと記し始めた。
事実木は美味しそうなパフェへと変化したけど……さっきまで木だったものを食べるのはちょっと気が引ける。
僕が躊躇っていると利根島さんが先に口に運んだ。
「風香ちゃん、このパフェ美味しいよ!! 風香ちゃんも一緒に食べようよ!」
もしかして朱莉、僕が美味しそうって思ってたのに躊躇ってたから先に食べてくれたのかな。
でも、もし毒があって朱莉が苦しむ姿は絶対に見たくない、僕が先に食べるべきだった。
「そう言ってくれるのは、私は嬉しい。だけど風香ちゃんが苦しんだりするのは私だって嫌なんだよ」
朱莉と心まで結ばれているのを理解すると心が躍るのが分かってしまう。
ダメなのは分かってる、なのにこれではもはや……じゃないか。
どうにかして抑えるんだ、あか……利根島さんと幸せになるために。
…………違う、利根島さんと元の生活に戻るんた! 何を考えているんだ僕は……最近明らかにおかしい!
利根島さんが僕を見る瞳には喜びと悲しみが入り混じっているように感じてしまった。
僕が約束を守れそうにないからだろうな。
どうにか守れるようにするから……僕を嫌わないで朱莉!!
「風香ちゃん、そんなに泣かないで。私が風香ちゃんを嫌うわけないでしょ。それに約束を守ってくれるのも嬉しいけど、それで風香ちゃんが傷つくのはもっと嫌なんだよ」
それならもう少し約束を守れるように頑張るよ……利根島さん。
無理そうになったら僕の方からちゃんと伝えるから、その時は聞いてほしい。
「ありがとう風香ちゃん。風香ちゃんのことだから無理しないか心配だから……その無理しそうになったら私の頭を撫でてほしいな。そうすれば口で伝えるのが怖くても伝えやすいでしょ」
利根島さんの頭を撫でる……って僕にとってはその行為もまだ難しいんだけど。
僕はなんとか気持ちを切り替えてパフェを利根島さんとパフェを食べた。
「朱莉くんの魔法ってもしかして……」
琴桐さんは僕と利根島さんを見ながら何かをメモしていた。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




