第三十一話
第三十一話
「はい、お二人の依頼の達成を確認致しました。報酬を受け取る際は受け取りカウンターまでお越しください」
僕と利根島さんが事前に決めていた報酬は感情の変動が分かる感情測定器だ。
存在するかどうかは置いておいて、あれば確実に正式の魔葬少女に近づく鍵になるはずだ。
受け取りカウンターには球体が置いてあったのだが、球体に顔が映ってる上に声が聞こえてくる光景を見ると僕と利根島さんは様々な疑問が湧き上がってきた。
そして疑問と同時に球体に対するとてつもない嫌悪感も湧き上がってきた。
「こんにちは、君たちが風香ちゃんと朱莉ちゃんだね。僕は魔葬少女育成システムのトガらんだよ、よろしくね」
もし本当に魔葬少女育成システムなら新人には絶対に渡しておけよ、僕たち新人ほど感情のコントロールが出来ないんだから。
僕は利根島さんを連れて受け取りカウンターから離れた。
「僕は主より創造されたシステムだから信頼性抜群だよ! だから離れないで風香ちゃん、朱莉ちゃん!! 二人の欲しい情報なら教えるから待ってよ〜!!」
欲しい情報はあるけど、情報を貰うならこんな信用ならないものより琴桐さんから貰う。
そうするとしても……正式になるためなら、この球体を利用するしかない。
僕と利根島さんは受け取りカウンターに戻り球体を鷲掴みにした。
「痛い痛いからそんな乱暴に使わないで欲しいな!」
この球体に嫌悪感に近いのを感じるのは、おそらくアイツと重ねているからだろう。
香澄さんならこの球体について知っているかもしれないと思い探したが、どれだけ香澄さんを探しても見つからなかった。
「もしかして香澄さん依頼に行ってるのでは?」
朱莉の言葉に確かにと僕は納得して近くにいた先輩に聞くことにした。
「今少しお時間良いですか?」
僕が声をかけたのは、茶髪でネオウルフの女性だった。
「良いけど、どうしたの?」
振り向いた女性の雰囲気は艶やかで、朱莉まで魅入っていた。
僕はこの球体のこと質問した。
「これね、感情のコントロールは教えてくれるけど使用するのはお勧めしないわよ」
理由を聞くと、この球体は主の意向だからと最終的には絶望の方向へ向かわせるからだと教えてくれた。
僕と朱莉は感謝を伝え去ろうとしると浅霧さんと霧谷さんが僕たちの方に寄ってきて球体を見るなり顔色を変えた。
「この球体にかかってる靄は具現化の産物じゃないか!? キミたち、これを僕たちに譲ってもらえないかね」
靄と言われても何も見えないが、霧谷さんの異常なまでの動揺具合を目にした僕の身体は球体を渡していた。
まるで本能と運命が霧谷さんにこの球体を渡せと身体に指示を出しているかのように。
霧谷さんが球体を受け取るのを確認した浅霧さんは霧谷さんを連れ
「感謝するぞ風香! ヨマワリ探検隊出動だ深雪!」と叫びながらどこかへ走って行った。
僕たちがこれからどうしようかと悩んでいるとさっきの先輩がアドバイスをくれた。
「感情のコントロールを練習したいのなら夢を見るのも良いと思うよ」
先輩のおやすみという呟きの後に僕と朱莉の意識は途切れた。
読んでいただきありがとうございます!!
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