第二十三話
第二十三話
僕と朱莉は高槻に連れられて中華料理のお店に来た。
……ちょっと待って僕ってこんなに朱莉呼びだったっけ?
距離を保たないと、アイツに利用されることは分かってるのに…………僕は朱莉のことをなんで呼んでたっけ?
「風香ちゃんはね、いつも心の中だと私のことを利根島さんって呼んでるよ。風香ちゃん、私との約束を守るために距離を保とうと頑張ってくれてありがとうね。大丈夫まだ戻れるよ、一緒に頑張ろ風香ちゃん」
「ありがとう朱莉、僕も一緒に頑張るよ」
そうだ、僕は利根島さんと一緒に元の生活に戻るんだ。
あんな醜態晒しておいて何を言っているだって言われるかもしれないけど、僕の弱点は理解できた。
ならばやることは一つ弱点の克服だ。
精神的に弱いのなら精神を強くすればいい……たとえ利根島さんに再び醜態を晒すことになっても。
「さあ存分に食せ!!」
好きなもの頼めとは言われたけど、この量は流石に食べきれない。
何このもやしの量……狂ってんじゃないの?
こんなのもやしだけでお腹いっぱいになるって!
「どうしたどうした箸が止まってるぞ! まさかもやしの量に怖気付いたのか? 無理そうなら小皿に分けておけ、私が食べる。風香も朱莉も訓練で精神的に堪えただろ、これぐらいはさせてくれ。私だって二人に生き残ってほしい、だからここまでやる」
高槻は僕と利根島さんが今までに出会った魔物がどんな種類だったかを聞いてきたので、答えた。
「そうか、なら良かった。魔物の中には魔法を使う輩も存在する。そいつらは元魔葬少女であり、私と同じ正式勢が多い。中には新人で魔物に堕ちたが、未練が強すぎて魔法が使える輩もいるが、大半は正式勢だと思っておけ」
魔物で魔法を使う……松島さんも魔葬少女時代は正式だったってことになるのかな?
僕が考えていると利根島さんが、高槻に質問した。
「あの、会話が出来る魔物って存在しますか?」
「未練によっては存在するだろう。もしかして出会ったことがあるのか?」
利根島さんは松島さんのことを説明した。
「そうか、松姉が……良かったと言っていいのか分からないが幸せに逝けたのなら安心だ」
知り合いだったのかと気になった僕が聞くと
「松姉は私の通ってた小学校の卒業生でな、交流会が催されたことがあったんだ。それから勉強を教えてもらっていたことがある、関係性で言えばその程度になるのだがな……なぜ来なくなったのか、分かって良かった。さて胸が熱くなるようなことを知ることが出来たこの日に感謝して私はさらに食すぞ!!」
結局高槻さんは小皿に分けた僕と利根島さんのもやしを含め食べ残してしまったものを平らげてくれた。
「腹は満たされたか?」
僕と利根島さんは軽く首を縦に振った。
「それは良かった。それと二人に伝えておくことがある。微調整の担当は私ではないぞ! 二人の微調整を担当するのは水本先輩だ」
「水本先輩ってもしかして水本愛海さんですか?」
利根島さんの質問に高槻さんは大声で答えた。
「先に言っておく、水本先輩の使っている感情は"支配欲"だ。水本先輩の訓練は微調整だけで二人は幸せだと思え、本気のあの人は私より狂っている。だが、今回は訓練だろうから本気は出さないだろう。安心して向かえ」
高槻さんが愛海さんの話をする際の声の震えに僕は既視感を覚えた。
水本さんのお姉さんだから水本さん以上なんだろうなとは予想してはいたが、そこまでなのか。
水本さんの家ではそこまでは…………。
「どうしたの風香ちゃん、顔が赤いよ?」
「いっ、いやなんでもない」
香澄さんと愛海さんが愛し合ってるのを思い出してしまった。
「あぁ、そういうこと」
「ちょっと朱莉笑わないでよ」
愛海さんが狂っているのなら僕の弱点を克服出来るかもしれない。
朱莉にばかり負担をかけられない、僕も強くなるんだ。
「二人とも準備はいいか? 良いなら魔女会に転移するぞ!」
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




