第十三話
第十三話
「どうだった、面白かったでしょ!!」
水本さんは勢いよく僕と朱莉に聞いてきた。
朱莉は首を縦に振って示したけど、僕は内容全部知ってるから反応に困った。
「秋口さんは面白くなかったの?」
僕はもう正直に言って楽になろうと覚悟を決めた。
「実はこのアニメに父さんが関わってるから内容全部知ってる。しかもこの先も」
それを聞いた水本さんは三秒ほど動かなくなった。
脳内でポクポクポクチーンみたいな音が聞こえてくる。
「……えっ、マジ?」
「うん、本当」
水本さんは父さんについてとかアニメの感想とか……色々聞いてくるから、結構答えるのに疲れた。
「……水本さんはこれで満足? 流石に疲れた」
「風香ちゃん、お疲れ。何か飲み物いる?」
「ありがとう朱莉、ミルクティーが欲しいかな」
「うん、ミルクティーだね。美咲さんは何が欲しい?」
「私はプロテイン入りのカフェオレがいい。それとチキンも欲しいなぁ。お金は私が出すから、お願いっ!」
水本さんはそう言って利根島さんにお金を渡した。
「行ってくるね。二人とも」
「いってらっしゃ〜い」
利根島さんが部屋を出てから水本さんは豹変した。
「ねえ風香ちゃん、朱莉ちゃんのことどこまで知ってるの? ねえ、答えてよ風香ちゃん。朱莉ちゃんのこと好きなら分かるよね」
「急に何、水本さん」
「朱莉ちゃんにお姉さんがいることは当然知ってるよね」
……朱莉に姉妹がいるなんて、聞いてない。
「その動揺具合は知らなかったんだ。私知ってるよだって……相方だからね。私ね本当は知ってるんだ朱莉ちゃんが誘った影響で二人が魔葬少女になったことも…………」
「な……んで、知ってるの水本さん」
「朱莉ちゃんのお姉さんを調べる過程で見ちゃったんだ。それをお姉ちゃんとすみ姉の契約霊に伝えたら私と朱莉のお姉さんを雛にしてくれたんだ。ちゃんと朱莉のお姉さんには全部堕ちることも説明した上で同意してくれたから安心して」
水本さんってこんなにやばかったの?
いや魔法に使う感情が独占欲なら……これぐらいでもおかしくはないか。
「朱莉のお姉さんのこと教えて」
僕も随分と……この環境に慣れてしまった。
大切な人の家族の命が危ない目に遭っているのに、淡々と教えてとか言えるようになってしまった。
これで元の生活に戻れても僕はまともにいられるのだろうか。
朱莉と一緒に元の生活に戻る。
そう誓ったんだから、どれだけ足掻こうが感覚も普通に戻す。
「まず朱莉ちゃんのお姉さんの名前は利根島光莉使ってる魔法の感情は姉妹愛でね…………」
僕が話を聞いている間に利根島さんは帰ってきた。
「美咲さん、さっきから……なんの話をしてるの? お姉ちゃんが何って、魔法とか感情とか……魔葬少女になったみたいな話してたよね。冗談だよね」
「本当だよ。こういうのは嘘を言う方が失礼でしょ」
朱莉は堪えた表情で水本さんを見つめて質問した。
「お姉ちゃんと美咲ちゃんは両思いなの?」
水本さんは全力で「当たり前じゃん」と言いながら首を縦に振った。
「…………それならいいの。お姉ちゃんが幸せなら」
朱莉は堪えきれなくなり、ハンカチを濡らした。
朱莉は気持ちを切り替えて提案してきた。
「それじゃあ恋バナしようよ。せっかく飲み物買ってきたんだし」
利根島さんが気持ちを切り替えたんだから僕も切り替えないと。
「って言っても僕……初恋もまだなんだけど」
「えっ、秋口さん初恋まだなの? 意外だね」
僕が初恋もまだだと言うと利根島さんは結構ショックを受けていた。
「私、風香ちゃんの初恋になれてなかったんだ。同棲カップルみたいで嬉しかったんだけどなぁ」
「そりゃあ僕だってそう思ったし元の生活に戻れたらそんな風になりたいけど、これが恋かどうかなんて分かんないのが正直なところなんだよ朱莉」
僕たちは利根島さんが買ってきた飲み物を飲みながら色んな話をして楽しんだ。
利根島さんが楽しむことにしたのなら当然僕だって楽しむようにする。
水本さんに話を聞くのはその後でも構わないでしょ。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来るときにしますね




