第十二話
第十二話
「二人ともお待たせ〜」
水本さんは手のひらサイズのぬいぐるみを持って走ってきた。
「見てよ二人とも、これさ今コラボしてる"
まほアン"のグッズなんだよ! 二人分も買ってるからね」
まほアンとは日曜日の午前九時に放送されているアニメ『魔法少女アンラクシー』で世間でもだいぶ賛否両論分かれている作品だ。
ニチアサに放送するにはダークすぎる内容と多数登場する豊富な属性の美少女キャラ、放送コードすれすれの描写が賛否を分けているアニメだ。
……父さんが原作として関わってる作品だから見たことはあるけど、今の僕たちの状況とだいぶ似てる部分があるから複雑な気持ちになる。
「そういえば私さ、このアニメ見てて思ったんだけど、魔葬少女の状況に似てる描写あるから感情移入が出来すぎるんだよね〜二人なら分かってくれるよね!」
僕は水本さんの質問にこくりと首を縦に振った。
利根島さんはよく分からないと言いたげな顔で僕を見つめてくる。
「もしかして利根島さん見たことない? ならこの後家で三人で見ようよ。私の魔法のことも教えるからさどう?」
僕は利根島さんに行こうと合図し、利根島さんも応えてくれた。
「そいうことなら早速、お二人さんを我が家へご招待〜」
水本さんの案内で僕と利根島さんは水本さんの家に向かった。
「たっだいま〜。友達連れてきたよお姉ちゃん!!」
扉を開けてすぐ水本さんがものすごい声量で僕たちの耳は一時的に機能しなくなった。
僕はすぐさま回復魔法を利根島さんに使った。
今まで忘れていたことがある。
一度だけ水本さんのお姉さんは僕たちの体育祭にきたことがある。
その時に水本さんのお姉さんの名乗った名前、それは水本愛海だ。
可能性があるのなら、香澄さんの恋人ということになるのではないか?
かなり強引なこじつけなのは分かっている。
正式な魔葬少女になるためには僕も朱莉も強くならないといけない。
感情を削ることになったとしても。
僕が考え事をしていると利根島さんは僕の耳を治してくれた。
その後開かれた扉の向こうで僕たち三人が見たのは、香澄さんと水本さんのお姉さんの愛し合う光景だった。
「ごめんお姉ちゃん今すぐ出て行くから、楽しんでね!!」
まあ恋人なんだしそういうこともするよねとは思いつつ……訓練所のことを誰に聞こうと思い悩む僕であった。
「さっ、さささてお二人さん……今のは見なかったことにしてもらうとして私の部屋で魔法について語ろう、そうしよう……ね!!」
水本さんの部屋に案内された僕と利根島さんは自己紹介と魔法に使う感情を教えた。
「へー、利根島さんは納得だとして、秋口さんが恐怖ってのが意外だね」
「別に意外って訳でもないと思うんだけど」
僕が水本さんに抗議したんだけど意外だよと返されてちょっと納得できなかった。
「お二人が教えてくれたことだし、私も教えるね。私が使う感情はちょっと恥ずかしいけど、独占欲なんだ〜」
独占欲……だから時間停止なのか。
相手の時間を自分のものにしたいとかなのかな?
「さてさてこれからの魔法の話はアニメを観ながら話そう〜!!」
水本さんは大きな声でそう言いつつ顔はお姉さんのいるリビングを向いている。
「再生っと」
『ガッーハッハッ魔法少女アンラクシーめ、貴様の友達はこの我が消しておいたぞ!』
『ジェル、あなたは何をしたのか分かっているの!?』
『分かっているからやっているのだ』
「風香ちゃん、この作品って本当に日曜日の朝放送なんだよね?」
「そうだけど」
「モザイクありとはいえ子供の見る番組で人体を切断して内臓を出すのは……ダメなんじゃ」
「そうだよね、どう考えてもダメだよね。よくゴーを出したよね」
僕たちはアニメを観ながら魔法について話をした。
水本さん、そろそろ顔をテレビに向けようかと言いたくなるほどリビングばかり見ているのは気にしないようにしよう。
読んでいただきありがとうございます!!
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