閑話その25
閑話その25
「今村小雪様、いつも応援しております!!」
今日もファンの声援が私の耳に入る。
「ありがとう、君たちの応援のおかげで頑張れるよ」
こんなにファンが応援してくれるようになったのも、指名してくれた秋口先生のおかげ。
もっと感謝しないと申し訳が立たないんだよね。
「さて、人影はないね。トゥンティンプルプルピリピリポー」
即興とはいえさすがに変な掛け声だったかもと多少の後悔を交えながら魔法を使った。
役に入るために実際に魔葬少女になった。
「……うわぁ、転移する場所間違えたぁぁあ!!」
ドサッ
「痛っててて……ごめんなさいごめんなさい!!」
どうしよう誰かを踏んづけちゃった。
「だっ、大丈夫ですから…………ってその声もしかして小雪さんですか!?」
この人よく顔を踏まれながらここまで話せるなぁと感心しているとあることに気づいた。
「貴女、人間じゃないでしょ」
この人から感じるのは魔物特有の空気しかも隠す気を感じないのがタチが悪い。
魔物と人間の区別がここまで上手く出来るのは私の魔法のおかげでもあるから、なんとも言えないんだけどね。
「魔物だけど、ファンなんです!! ……まさか踏んでもらえるなんて至高の喜びです」
「……気持ち悪い」
私の口が滑ると、この人は鼻息を荒くし始めた。
さすがにこれ以上は関わったら明日の試写会に響きそうだからやめておこう。
「私はそろそろ帰るね。今日のことは忘れてほしいな」
ファンだと言ってくれたこの人が忘れるわけがないことぐらい想像も出来たはずなのに、私の配慮が足りなかったと思い知らされたよ。
「もっと、もっと踏んで……私はこのためだけに生きてるんですから踏んで……踏んでください!!」
足を掴んで離そうとしないのはさすがにいただけない。
「そういうのはしちゃダメでしょ。離さないと消しちゃうよ」
困り顔で伝えたのが悪かったのか、余計に離してくれなかった。
「明日の試写会に来てくれるなら、今のことをなかったことに出来るからファンなら離してほしいな」
「ファンだから、もっと踏まれたい!! こんなこともう二度とないんだから!!」
推してくれるのは嬉しいけど、以前にもこういう人がいたけど、付き纏ってくるようになったから……ちょっと怖い。
この人には悪いけど、私の安寧のためにいなかったことにさせて。
「ハピリルハピリルミリシーラ、存在をなかったことにして」
私の魔法は"承認欲"を使用する。
使用する魔法は自らの存在を誤魔化したり相手の存在を消去したりそれぐらいに抑えている。
本気で使う際は対象の存在を操作し、相手が存在した事実自体を消去する。
「しつこい人は嫌われちゃうぞ」
さてとお邪魔虫とバイバイしたことだし転移し直して目的地に向かわなきゃ。
ファンに認めてもらいたいって思ってるのに重いからってファンの存在を消すなんて行為は夢に見た芸能人とは程遠いけど、それで安寧が壊されちゃったら他のファンも悲しんじゃうから仕方ないよね
言い聞かせつつも消しちゃったファンのことを忘れないようにしている私もいるのが本音だ。
「ピンプルピンプルポピリット」
正直掛け声なんてなしで魔法使えるけど、掛け声は趣味と練習を兼ねている。
今回の私の目的地は次のアニメに登場する旧吾野蔵港だ。
仕事のためとはいえ久しぶりの海は楽しみだなぁ。
「今度は成功したけど、どうして毎回落下形式なのぉぉぉぉ!!」
私はトランポリンを存在させたことで難を逃れた。
「ふぅ、助かった。魔葬少女って大変だけど、夢が詰まってるよね」
魔法少女アンラクシー役としても恥じないようにして秋口先生に恩を返すんだ!
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




