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【ニ万PV感謝ですっ!】魔葬少女【連載版】  作者: 暗黒神ゼブラ
正式編

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第八十四話

第八十四話



二十分ほどオーナーさんから話を聞いた。


「風香ちゃんのお母さんは来店時の購入商品の使用する光景が恒例になっていたんだ。ここ一ヵ月は来てないようだけど、お母さん何かあった?」


勘が鋭いのはやはり常連が突然来なくなったからだろう。


「実は母さんの記憶が消えたんです。それでオーナーさんからみた母さんのことを話せば少しは良くなるのではと……そう思ったんです」


母さんの記憶喪失を話すとオーナーさんは寂しげな表情をしながらも僕にお願いをした。


「風香ちゃんが可能ならでいいんだけど、お母さんをまた連れてきてくれたら個人的に嬉しいから頼めるかな?」


僕には断る理由もないし、会ったことで記憶が少しでも取り戻せる可能性があるのなら会ってもらったほうがいい。


「分かりました、また母さんを連れてきます。その時はまた母さんの相手をお願いしますね」



「任せておいてくれ、やっぱりいつも来てくれる人が来なくなったら寂しいからね」


オーナーさんから母さんについて聞いて分かったことがある。


「母さんって本当にオカルト好きだったんだね。オーナーさん、母さんが買いそうなものって今売ってたりしますか? せっかくなので買って帰りたくて」



物の実物を見ることも効果があるってネットでも見たことがある。

もしも本当なんだとしたら、可能性に賭けてみる価値はある。



「お母さんが買いそうなものなら沢山あるけど、この中だと特に買いそうなのはこの閃電術式かな。今回は八割引きの二百四十二円で売るとしようかね、これならば手持ちでも足りるだろう?」


閃電術式について説明を聞くとこの術式を使うと術者の周囲二十メートルの電気を凝縮し放つことが出来る。

呪術の一種とのことだ。


もしかすると、朱莉も使えるのではないだろうか?


魔女様のところに母さんがいると踏んだ僕たちは魔女会に向かう前に、閃電術式の書を読み込むことにした。


使えるようになってから渡しておきたかったからだ。



一時間ほどかけても僕は十秒ほどしか電気を集められず放つことが出来なかった。


僕と同じ時間かけた朱莉は集めて凝縮することも放つことも出来るようになっていた。


試しに近くの森で放つと、集めた電気は木々を閃光のように伝った末に森を燃やし尽くした。

よくよく観察すると街に気づかれないように朱莉は炎の大きさすら変えていた。


「出来たよ風香ちゃん!! 見てくれた!?」


「ちゃんと見たからそんなに引っ張らないで」


やはり契約前から呪術を使っていた朱莉の方が上達は早いのは当然か。

だけどこの威力ならば、朱莉には攻撃魔法を使わず感情消費を抑えることが出来るはずだ。


上達してここまで使えるようになれば朱莉と過ごせる時間を増やすことが出来るかもしれない。


明日のために一応この術式を使うために暗号を決めた方がいいと考えた僕は朱莉に提案をした。


「朱莉、咎には心を読まれると仮定して暗号みたいなのを決めておこう。この閃電を使う時は……そうだなぁ、お風呂場にドライヤーとか?」


「どういう意味か教えてくれないかな?」


「お風呂場で電化製品を使って亡くなる人は居るでしょ、だから安直だけど電気で攻撃をするってことでこの暗号なんだけど……やっぱり伝わりづらいかな」


「いや私はいいと思うよ、でもそれだと相手にも伝わる可能性が高くないかな?」


「伝わるのは前提で考えた方がいいと思う。なんてったって"僕の父さん"なんだから」



閃電術式の書を購入した僕と朱莉は母さんがいなかったため魔女にこの書を母さんに渡してくれるように頼むことにした。


「魔女様、お願いします」


僕は朱莉を連れて帰宅した。


「明日のことで話しておきたい」


咎に会うことになるから、再び殺される可能性がある。


朱莉のことだから覚悟は出来てるのは分かっているけど、僕自身が父さんと咎の同一化に耐えられるかどうか分からない。


「だから、朱莉……僕のこといつも以上に見ていてほしい。すぐに戻ってこられるように」


普段ならたらればを考えておく必要はあまりないけど、今回ばかりは考えた方がいいとさえ思ってしまう。


「私が風香ちゃんから目を離すわけがないでしょ、だから安心してね!」


自信満々に胸を叩きながら咳き込む朱莉を見ていると、込み上げてくるものがある。


「あっ、朱莉……ぎゅうしていい?」


甘えたい、不安を紛らわせるためと言い訳しつつ僕は朱莉に許可を取ることにした。


「おいで風香ちゃん!! ほらこの胸に飛び込んでごらん!!」


大っぴらに両手を広げ僕を待っている朱莉に少しずつ近づいた。


「風香ちゃん、もしかして恥ずかしがってるの? 大丈夫だよ、ここには私と風香ちゃんしかいないから」


「恥ずかしいとかじゃなくて、止められるかどうか分からないんだ」



「だったら止めなくて良いんじゃない? 明日は風香ちゃんにとっても私にとっても大切な日なんだから精神的に整った方がいいでしょ」



僕は朱莉の言葉に甘えることにした。




「朱莉、いつもありがとう。やっぱり朱莉が隣にいてくれたらどんなことでも出来そうな気がするよ」


言葉の綾ではなく、心の底からそう思ってしまう。


思ってしまうから余計に怖いんだ。


「あとは父さんが帰ってくるのを待つだけだ。だからその間まで手を握っていてもいい?」


僕は朱莉の手を握り、父さんの帰りを待っている。


「私がついてるから大丈夫だよ風香ちゃん」



僕が感謝を伝える前に扉が開く音が聞こえたため必然的に臨戦態勢を取ってしまった。


明日にもなっていないのに、帰ってくるのが早すぎる!


「どうした風香。そんなあからさまに警戒して何かあったのか?」


声色はいつもの父さんなのに、周囲には近づくだけで殺されると本能で察せるほどの死の空気を纏っていた。


僕の意識とは裏腹に身体の震えは止まらず初めて契約した時の比ではないものだった。


『お願い手を離さないで、気持ちを立て直したいから……もう少し握っててほしい』


震えを抑えなければ咎を殺すなんて夢のまた夢なんだっ!!


父さんの顔にはいつもの優しい笑顔と嘲笑うような女性の顔の二つが重なっているように感じられた。


「私を殺すね、風香も言うようになったじゃないか」


徐々に変わりゆく声色に目の前にいるのは咎なのだと理解出来た。


理解したら……僕の震えは恐怖によるものではなく、朱莉を殺された時の憎しみに近い武者震いになっていた。



『朱莉、お風呂にドライヤーがあるから使って』


『分かった、すぐに使うけどいいかな?』


『そうしてくれた方が助かる』



おそらく咎にとってもすぐにバレるような暗号だろうが、知ったことではない。


「術式の気配を漂わせているのは、確か風香の恋人だったな……なんて愉悦極まりない状況なんだ。風香が自ら呪術を使う相手を選ぶなんて今後の成長のために動かざるを得ないじゃないか!」



咎の悦に浸っている表情が父さんを超えて見えているけど、今はとにかく


「やるしかないだろうが!!」


読んでいただきありがとうございます!!

更新は出来る時にしますね

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