閑話その24
閑話その24
「薫には夢とかねえのか?」
「あるけど、叶うわけないよ。柏尾君はどうなの?」
俺の夢か、特に考えたことはねぇけどそういや一つあったな。
「薫の書いたものを作ることだ。お前物語を描くのが好きなんだろ、俺はお前の物語を現実にしたい!」
「でっ、でも僕の描くのってロボットが戦うようなやつだよ」
「だからだよ。俺には勉強やらの才能は皆無だけどよ、モノづくりだけは昔から褒められるんだ。せっかくならお前のためにこの才能を使いたいんだよ」
「柏尾君がそう言ってくれるなら、僕も頑張れそうだよ!」
俺にはこんなことでしか薫への思いを表現出来ない。
だけどそれでいいんだ。
薫の夢が叶えば……俺はそれで満足、なんだ。
その日から俺と薫の共同作業が始まった。
一年後
「柏尾君、この鞘の部分もう少し右向きに出来ないかな?」
「了解、今すぐやってみる」
薫が俺に指示を出し、俺がその通りに動く。
今のこの時間自体が俺にとっては幸福そのものなんだ。
「柏尾君……なにこの匂い」
「匂いって言われても、そこまで…………」
なんでこんなに異常なまでに血の匂いがするんだよ、ここは学校だぞ。
「誰か来る、隠れるぞ薫!」
「うっ、うん!」
俺と薫は工芸室に設備されている準備室に隠れた。
ドクン、ドクン
なんでこんな状況で俺の心臓は高鳴ってんだよ。
「柏尾君、凄い汗だけど大丈夫?」
焦りすぎて滝みたいに汗かいてんじゃねえか俺
「大丈夫だ薫、それより少し様子を見てくる。お前は俺が戻ってくるまで絶対に出るなよ! ここなら"俺たちの子供"が揃ってるが、もしもの時は躊躇せず逃げてくれ」
もしもの時は俺は既にこの世にいないだろう。
そんな状況で薫に頼りたくはないが、死なせるよりはマシだ。
だから、俺に最大限出来るのは……匂いを作り出している人間に薫が逃げる時間を少しでも作り出すことだけだ。
「薫の力、借りるぜ」
俺は薫が生み出した装備を纏い準備室の扉を開いた。
アーマードスーツの作品も描いてくれた薫には感謝だな。
軽量化出来たこともあってか、動きやすい。
我ながら良い出来だな。
「頼むぜ相棒」
俺が目にしたのは、この世のものとは思えない光景だった。
「なんだこのドロドロとしたものは……」
俺がドロドロとした肉の塊に見える何かに触れると、肉と目が合った。
「……これ、生きた人間じゃねえか!!」
待ってくれ、そうなると薫が危ねぇ!!
「エンジン出力全開、旋回精度システム上昇、オートブレーキ機能作動……待っててくれ薫!!」
俺が戻ったころには…………。
「全開放……テメェ、何してんだ!!」
ドンッ!!
「君、人間にしては良いね。六十四点だよ」
なんでこいつに当たらねえんだよ!
「君はこの子を守りたかったんだよね。残念だったねぇぇぇ!! 君が何処かに行ってる間に殺しちゃったよ、ホラこの絶望に満ちた表情、興奮しないかい!?」
「……煽るのも大概にしろよ」
俺は薫の作品に忠実に作ったんだ。
威力や機能もそのままでな。
「圧縮解除、魂の空気砲!! 消し飛べぇぇぇぇ!!」
俺も薫と同じ場所に行くことになるけど……仇は討っ…………。
「ゲホゲホ……本当に威力が凄いだけの埃撒きだね」
……はっ、こいつには何も効いてねぇ。
忠実につくれ……なかっ……たか。
俺の意識はそこで途切れた、はずだった。
隣には生き返っている薫がいたこと、それだけで俺にとっては何事よりも代え難いんだ。
「柏尾君、絶対この状況使えるよね!!」
「薫が楽しそうなら良いか。でも薫を一度でも殺したテメェだけは絶対に許されねぇ」
俺たちが生きている理由は理解できないが、生きているのなら、こいつを殺す。
「君たち二人には有益そうだから魔人になってもらった。言っておくけど、今まで通りに自由にしてもらって構わないよ。その方がいい結果出してくれそうだからね」
この女はそう言って姿を消しやがった。
「魔人ってなんなんだよ……もう意味がわからねぇ。けどまあ、薫が生きてんならいいか。なあ薫、また一緒に作ってくれるか?」
「なんでそんなこと聞くの? 聞かなくても分かるでしょ、僕は柏尾君と作り続けるよ!」
「ありがとな薫」
「感謝なんていいよ。僕と柏尾君の仲でしょ」
「それもそうだな。そんじゃ早速取り掛かりますか!」
「うん!!」
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




