第八十話
第八十話
下校時刻の放課後まで委員長たちと話していた。
委員長たちが、本当に僕と朱莉に味方してくれているのが嬉しい反面これ以上巻き込みたくないという気持ちが強くなる一方だった。
「私たちはそろそろ習い事の時間だから帰るね。蘭早く行くよ。二人ともさっき言ったこと覚えておいてね」
「なんで美優が仕切ってんのよ! 風香さん、朱莉さんじゃあね」
委員長たちは足早に帰路に就いた。
酔っ払いの女性は「酔いを醒まされた"お礼"とでも思え」と注釈を入れ、僕と朱莉に提案をしてきた。
「咎に挑むってんなら、こっちも強さだけは信頼できるやつに話をつけてやる。……まあとりあえずは久蔵あたりなら限定のフィギュアでも渡しときゃ協力はしてくれるだろ。
その代わり、お前らが経験を積めるように、魔物がよく出現する場所を教えてやる。そうでもしねぇとお前らの勝率なんて皆無なままだからな、ありがたく思えよ」
久蔵さんって確か僕と朱莉に魔物化抑制のアクセサリーをくれた人で……契約霊をすぐにでも殺せるって言ってたあの人か。
表情で激怒しているのが丸わかりで、攻撃されないか不安しかなく警戒心が漏れでていた。
「そんな警戒すんな、なんもしやしねぇよ。お前らにはな。咎とかいう奴らに発散してやるがな絶対に」
僕は思わず漆黒の件で口を開いてしまった。
「だとしても人型魔物だからってあんな殺し方をしてましたよね貴女」
女性はなんで知ってるんだと言いたげな表情で僕をしばらく見つめていた。
「まあ見てたんならそれで構わねえけど、魔物相手なら何したって構わないだろうが、どうせ私たちも堕ちるんだからな」
怒りと諦め混じりの表情には僕も理解出来る面もある。
「だけど、あそこまでする必要はないと思う」
楯突くようなセリフを吐いたことにより、殺気が僕の方にも向いた。
『風香ちゃん、この状況ほとぼりが冷めるの待ったほうがいいんじゃないの?』
『いつもならそうするけど、協力してもらうためにはそれだといけないと思う。だから今回は向き合おうと思う』
「申し訳ありません。さっきの発言は僕があそこまでの残酷にはなれないので、出てしまいました」
「そこまで謝る必要ねえだろ。正式な魔葬少女っつったって人それぞれあんだからよ」
それならなんで僕に殺気を向けてきたのだろうか。
僕がそう考えていたら、朱莉が代わりに聞いてくれた。
「それなら風香ちゃんに殺気を向けたんですか」
女性が答えたのはこうだった。
「醒まされたお礼の最中に指摘してきたのが、癇に障ったんだよ。こっちが、多少我慢してんのに追撃喰らわせてきたからな、仕方ないだろうが」
僕と朱莉はそれなら仕方ないと飲み込み、次からは気をつけようと決意したのだった。
「そんで場所をまだ教えてねぇだろ」
女性が教えてくれたのは、吾野蔵公園と呼ばれる場所だった。
この場所ではこの一ヵ月リーダー格が召集することにより魔物たちの集会が度々行われている。
そして祓っても祓っても埒が明かないと壁に穴を開けながら教えてくれた。
……だいぶこの光景に慣れてきた自分に驚いているような気がする。
リーダー格の召集で集会が行われるのならば、そのリーダー格の魔物に問い詰めれば、ヒントについて今の僕たちよりはマシな情報が手に入るのではないか?
だけどそれは僕と朱莉がそのリーダー格と渡り合えるかにかかっている。
まだ正式な魔葬少女になったばかりの僕たちの手に負えるものなのかははっきり言って否だろう。
酔っ払いの女性でさえ埒が明かないと言っているのがその証拠だ。
……だけど、逆に考えればこの案件を解決すれば、僕と朱莉は格段に強くなれる。
ならば必要なことが一つある。
「ありがとうございました。そういえば名前を聞いてなかったですよね。僕は秋口風香、こっちにいるのが僕の恋人の……」
「利根島朱莉です」
「「これからよろしくお願いします」」
これで挨拶は終えた。
あとは連絡しなければならない、浅霧たちに。
「私は畠中結衣だ。とりあえずはよろしくな……それと流石にこれ以上の我慢は身体に悪い。ちょっと外の空気吸ってくるわ」
これは魔物を成仏させてくるやつだと理解出来たので、とりあえず見送った。
「ねえ、朱莉……公園に行く前にクレープ食べに行かない?」
これでも化け物と罵られたことを、紛らわせたい気持ちが強いから。
「いいよ風香ちゃん。その代わり一人二個までね、食べ過ぎたら太っちゃうから! でもそんな風香ちゃんを見たくないかと言われれば見たい!! それに触れたい!!」
「いつも以上に欲望に忠実になってきたよね朱莉」
愛海さんの四条件で生き残れる時間が増えるなら、これも良い傾向と言えるのかもしれない。
読んでいただきありがとうございます!!
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