第七十九話
第七十九話
逃げ出した先輩の影響で、僕と朱莉は普段の学校生活とは別の注目を浴びている。
僕たちが学校の人たちから化け物だと罵られる日が来るなんて思ってもいなかった。
……まだ付き合っている恋人として注目されているあの時の方が僕的には良かったと心底思うよ。
「琴桐さんに後で断りを入れないとね」
僕は琴桐さんへの置き手紙を書いている。
朱莉の提案で、僕たちは新聞部の部室を使わせてもらっている。
「お前らに一体何があった」
酔っ払い女性に聞かれた僕は僕たちが魔葬少女であること、そして制作者である咎という人物がいることを話した。
さっきのことを話すために源綾音のこと、また来ると言い残し姿を消したことも話した。
なぜなら一人でも多く咎を殺すための協力者が欲しかったからだ。
四分後
「なんだよそれ、ふっざけんなよ!! そんな理由で殺されんのかよ。ざけんなよ!!」
女性の眉間はピクピクしながら、壁に穴が空くほどの力だ殴った。
この時、女性に僕が咎の娘であるということを話していなかったことに多少の安堵を覚えた。
話していれば殺されていたとさえ思うほど女性の殺気は強かった。
「率直な感想なんだが、お前らがやろうとしてることって魔王討伐と変わらねぇよな。日本だけに留まるようなら勝率皆無だろ」
女性の言っていることも理解できる。
「お前らみたいな、なりたてに何が出来るってんだよ。一貴族の近衛騎士になりたてみたいなお前らが魔王どころか幹部も倒せるわけがねえだろ。だが、腹立たしいことにそれは私にも言えることだ」
女性の下唇を噛んでいる様子を見て、何かを我慢しているように僕には見えた。
「お前らはその咎とかいう制作者を殺したい、そういうことであってんのか?」
『朱莉、前に話したこと覚えてる?』
『世界を見聞きするって言ってたこと?』
『そう。それで僕には問題がある朱莉はどうかは知らないから教えてほしいんだけどいい?』
僕にある問題はビザとパスポートを持っていないことだ。
「おーい、聞いてんのかー!!」
『風香ちゃん、私も持ってない』
僕は女性に質問をした。
「その考えて合ってます。質問なのですけど、魔女会でビザやパスポートは取れるのですか?」
女性は首を横に振り質問に答えた。
「ようやく返事しやがったか。両方取れねぇけど、魔女会を経由すれば依頼としてなら海外に条件なしで向かえる。海外にも魔女会は存在しているからな」
魔女会を経由するだけで条件なしか、咎の思惑通りな気もするけど、咎を殺すためには利用出来るものは利用するしかない。
そんな決意とは裏腹に、日常は相手の方から寄ってきた。
扉が突然開いて何事かと思ってみてみれば、委員長たちが僕と朱莉を心配して後を追っており、入るタイミングを逃したとのことだった。
「私は秋口さんと利根島さんのことを化け物だなんて思ってないから安心して! 私は味方だからね」
委員長たちにはどこまで話していいものか悩むけど、魔葬少女ってことぐらいなら別に話しても大丈夫かな?
僕が悩んでいると朱莉が委員長たちに例え話をし始めた。
「委員長たちはもし魔法少女になれたとしたら何かしたいこととかあったりするの?」
委員長は予想通りの返答をしていた。
「私はね魔法少女になれたら、困ってる人を助けたい。……やっぱり魔法とかって憧れるよね」
副委員長は照れながらも好意的なことを伝えてくれた。
「私は魔法が使えたら、美味しい食べ物たくさん出すかも……」
委員長はニヤけながら副委員長の顔を見ていた。
「ふーん、蘭もそんなこと考えたりするんだね〜、私には食べすぎは身体に悪いとか言ってたのにね」
「べっ、別にいいでしょ!! 私だってたまには贅沢したいのよ、悪い? 魔法で生み出したものなら、きっとカロリーゼロよ……そうに決まってるわよ、多分……きっと」
二人の魔法少女に対する憧れを聞いていると、魔葬少女になる前の僕を思い起こさせつい口が動いてしまった。
「僕も最初はそう思ってたよ。良いよね、そういう魔法とか合ったらチョコバナナクレープとか出したいよね」
『風香ちゃん、そう思ってたよとか言ったら勘付かれちゃうよ。まあ伝えるのが目的だし良いんだけど……この後クレープ食べに行く?』
『うん、行こう。気持ちを落ち着かせたいし……誘ってくれてありがとう朱莉』
「秋口さん、利根島さん……突然黙って見つめ合ってどうしたの?」
「美優、察してあげなさい。よく言うでしょ心が通じ合っていれば視線で会話が出来るって、多分そういうのよ」
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来る時にしますね




