かつて足を踏み入れたことのない家へ
思ってたより早く学校始まるし……あーあ……
——————————————
朝6:21・「紅潮」市場
「新鮮な魚だ!リランドで獲ってきた!」
「電子部品、カゲロウ認証済み!」
「新品の装備!品質保証付き!」
銃、通信機、食料、部品が一緒に販売され、この海面社会の「タイドポイント」で取引が行われていた。
「おい!夢狐が戻ってきたぞ!」
誰かがサーモンの船に気づき、振り返って叫んだ。
海面上には、大小さまざまな数十隻の船が浮かぶ市場を形成していた。
客船にはテントや露店があふれ、平底の艀には様々な貨物が積まれていた。
人々は小舟を漕ぎながら、その隙間を縫って行き交っていた。
すぐ近くには、小島のそばに寄り添うように建つ村もあった。
木造の家屋や船を改造した住居が、海面と海岸に連なっていた。
上空には、無数のロープとジップラインが高低差を縫って張り巡らされ、立体的な交通網を形成していた。
貨物はジップラインやドローンによって船と人の間を行き来し、防水ケーブルがそれぞれの家を繋いでいた。
島の反対側には果樹が植えられ、わずかに家畜が飼育され、飼いならされたハトやイルカが岸辺を徘徊していた。
船は市場の片側に停泊した。
「食べるか?」
由夢は口に小魚の干物をくわえ、もう一本を孤鍵の前に差し出した。
孤鍵は匂いを嗅ぎ、かじりついた。
「……香ばしいな。」
「はは!私が作ったんだから美味いに決まってるよ!」
商人の女が笑いながら、段ボール箱をサーモンの船の甲板に置いた。
年老いた女性で、両手は荒れていて、いくつかの傷跡が残っていた。
「おい!三兄さん!頼んでたもの置いといたよ!」
「狐妹、『パン屋』の焼き立てだ。好きなだけ持っていけ、金はいい!」
別のコートを着た商人が由夢に様々な電子部品や小道具を見せていた。
「じゃあ遠慮なく〜」
由夢はいくつかのコンデンサと開発ボードを選んでいた。
「君は結構人気があるんだな。過去に何かあったのか?」
孤鍵は彼女のそばで、変わった形の機器を眺めていた。
その外殻は透明で、内部のコイルと一枚の極薄の金属板が見えた。
「『教授』も努力したんだ。人類が自分たちの問題と向き合う方法を見つけようとね。」
由夢の声には少し嘆きが混じっていた。
「結果は、人類を導くと言い張る連中の手によって命を落とした。」
孤鍵は何と答えればいいか分からなかった。
「でも、最期の瞬間の前に、彼は残したものをBOSSに託し、この海の人々に届けたんだ。」
「恩返しができないから、自然と大切にされているんだよ。」
彼女の目は孤鍵の目の中で輝いていた。
朝の光の中にまだ見える、一層の水膜のように。
「『教授』が残してくれたものは、この七年間でどれだけの命を救ったか分からない。」
サーモンが市場の真ん中から戻ってきて、二つの淡水の樽を抱えていた。
「生きている間も、彼は皆が尊敬する人だった。」
「今はもう人は変わってしまったが、彼の娘が助けを得られないようにするわけにはいかない。」
由夢は笑いながら部品を箱にしまった。
「さあ、BOSSに会いに行こう!」
——————————————
朝6:58・酒場の入り口
岸辺の小さな埠頭に、様々なスタイルの船の隙間を縫って一艘の船が停泊していた。
「準備はいいか、狼?」
由夢が立ち上がると、海風が彼女の雪のような白い髪をなびかせた。
「君の選択が、多くの人々の——君自身を含めて——運命を変えることになる。」
その二階建ての建物は小高い丘のそばに建っており、ドアの横には彫刻が施された木製の看板が掛かっていた。
看板の下には、厚手の木製のドアが半開きになっていた。
ドアの隙間からは暖かな黄色い灯りが漏れ、中からはかすかに音楽が聞こえてきた。
ジャズだった。生々しい音質で、もの憂げでありながら、どこか枯れた味わいがあった。
そう、ここは本物だ。錆びや傷跡をそのままに。
孤鍵は立ち上がり、岸に飛び移り、振り返って由夢も岸に引き上げた。
彼女の顔には、何の翳りもない笑顔が浮かんでいた。
二人はその木製のドアへと向かった。
ドアの横には手作りの風鈴が掛かっていた。薬莢、割れたガラス、銅線で作られたものだ。
それはかすかに揺れていた。
由夢は手を木製のドアの表面に置き、そして押し開けた。
風鈴が澄んだ音を立て、古い時代の共鳴が混ざり合った。
暖かな光が潮のように溢れ出し、古びた木の香り、アルコール、香料、薬草、そして無数の物語が混ざり合った匂いが押し寄せてきた。
低く響く話し声、グラスがぶつかる音、そして止むことのないジャズ。
彼女は先に一歩を踏み出し、戸口の光の中へと足を進めた。横を向き、その軽やかな笑みを浮かべて、孤鍵を見つめた。
「ようこそ……『浮生』へ。」
海の民にとって、教授は聖人同然だった。
でも天上の連中から見れば、この海の連中はみんな凶悪な化け物みたいなものだ。
だから由夢の立場は——言わばヤクザの親分の娘みたいなもんだ。




