表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スーパーカブおっさんの家ごと異世界転移スローライフ〜「燃費」良すぎて物流無双しちまったわ〜  作者: 池田大陸
第十二章 東区開拓編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

608/610

608 ★ ターニャ 川遊び

 ――ドゥルルルルー……。


 私は今、ベージュカブのシートにスコットを乗せて走っている。


 ちなみに私は二人乗りは初めてだ。乗せてもらった事はあるけどね。

 慣れていないこともあって速度を出さないとフラフラして正直……ちょっと怖い! 怖いけど楽しい。あはっ。


「おいおいお前大丈夫かよターニャ!?」

「……だい、じょーぶ……! 心配いらん」



 右手でアクセルを捻り、ギアを2速に入れれると、私のベージュカブはやっと安定して走り始めた。良かったー!



「うおおおお! す、すっげー!! ひゃー速ええーっ!」



 後ろでスコットがはしゃいでて私は嬉しくなった。でも姿が見えないのが惜しいね……。


 そんな風に私が満足していると、後ろから大きめの声が飛んできた。


「ターニャー! お前この先に川あるの知ってるかー?」

「え、川? 知らん。どこ??」

「採掘場のちょっと手前。歩いたら遠いけど、このカブなら行けるぞ! 魚がいっぱい泳いでるんだ」

「魚! 食べれる!?」

「い、いや、それは無理じゃね? ……ってか、お前ってもしかしてめちゃくちゃ食いしん坊な奴?」

「うん! 食べるの大好き」

「……お、おう。でも捕まえんのはムズいぞ。とにかく行こうぜ!」

「うん、行こー!」


 あんまり遅くなるとおじが心配するし怒られる……でも、ちゃんと謝ったら許してくれるハズ。うん、ちょっとだけ……。



 ――ドゥルルルルーン!



 スピードを上げるとスコットはさらに楽しそうな声を上げた。


「うわーーっ。あははははっ! 本当にカブって凄いぜ。いいなーターニャって毎日これに乗ってんだろ?」

「そだよー。たまに乗らない日もあるけど」

「うおおー代わってくれよ?」


 冗談だと思うけど私はキッパリと拒否した。


「無理。おじが悲しむもん」

「おじ、って領主の人か?」


 私はチラッと後ろを振り向き、にっこり笑って答える。


「そう。おじは神!」


「はははっ、なんだそりゃ!? でも俺も凄い人だって噂で聞いたことあるぞ」

「うん、凄い。帰るのが遅くなるとおじが心配するから、ちょっと急ぐよ!」

「おー!」



 ……。



 そうしてしばらく走るとスコットから停まれの声がかけられた。場所はやっぱり採掘場の手前。


 今走っている道から脇に小道があって、そのままカブで入っていくと、キレイな川が見えてきた。


「あ、あれだね!」

「行こうぜターニャ」


 カブを停めて、スコットはすぐ川に向かっていく。私も続いた。



「うおりゃああああ!」


 ――ダダダッ、ザッパーン!!


 豪快に川の深めの所に飛び込むスコット。


「うわっ、飛び込むんだ……」


 スコットは胸まで水に浸かっていた。そして笑顔で私に手を振り、こんなことを言ってくる。


「お前も来いよターニャー!?」


「ええ……」


 私、今はこういうガキっぽいことはあんまりやらなくなったのに……。

 弟のエルドがアホみたいに飛び込んだりするのをガキだなぁ……と冷ややかに笑って眺める。そんな感じ。



「気持ちいいぞー!」



 でも、私の心は揺らいだ。その時のスコットの笑顔があまりにもいい感じだったからだ……。

 うん、ちょっと言い訳しとこ。


「こ、こういうの本当はやらないんだからね。私!」


 腰に手を当てて軽くスコットを睨むが、スコットは笑顔のままだ。


「こねーのか?」


 首を2回ほど横に振る。


「いんや。私はやるときはやる! ……ふんっ!!」


 決意したらすぐ動く。それが私だ。



 ――ザッパーン!!



「ひゃああーっ! つ、冷たいいいいーっっ!!」


 いや本当に冷たいんだけど!? 川の中で、腕で体を包み込みながら私は悲鳴を上げた。


「スコットは寒くないの!?」

「いや寒いぞ。一旦上がろう」

「なにそれ!?」


 なんかやせ我慢してたらしい。



 ……あ! 川から上がる途中、足元を魚が泳いでいくのが見えた。


「魚いたよ今!」

「よし、待っとけよー」


 スコットは得意気に笑うと、川の深い方にまた戻っていった。寒いんじゃなかったの!?


「うおおおおおっ!!」


 そのまま川に飛び込んで潜り、スコットはすぐに顔を上げた。


「寒っみいいいいいい!!」


「当たり前だよ。もう、早く上がってきて」


 私はちょっと呆れてスコットに手を伸ばす。



 ……。



 岩の上で私とスコットはしばらく陽の光を浴びて体を温めた。

 お日様の光ってこんなに気持ち良かったんだ!



 十分に体を温めると、また深い所に近づく。今度は冷たい水が気持ちいい……それに、さっきほど寒くないね!


 私はちょっと楽しくなってきて、手で水を掬ってスコットの方に放り投げてみる。


「ういーー!」

「何すんだよー。おりゃー」

「あはははっ!」


 しばらくの間、私達は小さい子供のように水をかけ合った。

 やがて私は、本気で魚を取ってみたくなった。



「スコット、魚とろう! 私も頑張るから」

「よーし。じゃあ両端から追い詰めようぜ」

「ういっ!」



 ……。



 そしてしばらく経ったが、私達は一匹も取れなかった。

 スコットは残念そうに呟く。


「あー、悔しいぜ! くぅー……」


「あはは、別にいいよ。村の食材屋で買えるでしょ?」

「いや、そうじゃなくて今お前が欲しがってたからさ」

「……ありがと」


 あ、やっぱりそうだったんだ。スコットは本当にいい奴だね。


「うん、でも魚はもういいや。そろそろ帰らないと本気でおじが心配するから戻ろ?」


「う、うん。ところでさ。お前のおじさんって……その、怖い?」

「んー全然。私に対してはだけどね……あ、私弟いるけど、弟には厳しかったりするよ」


「やべっ! じゃあ早く戻ろうぜ」

「うん!」



 ――ドゥルルルルーッ!


 そうして私達二人はまたベージュカブに乗り、急いで来た道を引き返した。



 私は今になって不安になってきた……おじ、やっぱりめちゃくちゃ心配してる気がする。今回ばっかりは絶対怒られる気がする。


 私はスコットの座っている後ろに左手を伸ばした。


「ねえスコット」

「な、何だよ?」

「握手しよ?」


「え!? お、お、おう。それは良いけど。どうした??」


「あのさ、帰ったら一緒に怒られよ? ね?」



「おい、やっぱり怒られんのかよ!?」



 ……。



 そうして共犯を確保でき、私は少し安心した。

 しばらく走るとすぐに村が見えてきた。


 長屋の前にクリスと一緒におじが立っていて、こっちをじっと見ている。

 ベージュカブを降りる私とスコット。


 おじの第一声はこれだ。



「こらぁ! どこに行ってたんだターニャ!?」



 ひいっ……私はスコットの右手をつよく握った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ