スタンプ合戦
勉強を終えるとすぐに部屋にある物を見る。その中で特に見てしまうのがベッドだった。
今日も携帯電話を持ったまま、ごろん、と布団の上に寝転がる。
とてもだらだらとした夏休みが終わろうとしていた八月十九日午後二時三十二分。
あのリーダーから連絡があった。
それもスタンプで。
二十、波……カモメが皆でワイワイ……五……。
「これって、二十日、海かプールに行こうってこと? 二十日って明日じゃん!」
その日付にびっくりして起き上がったが、またごろんと布団の上に寝転がった。
「『いーやーだぁー』と!」
オレもリーダーと同じようにスタンプで返す。
すぐにリーダーからスタンプが来た。
マル……バツ……オッケーだとでも? という意味か……、それなら!
こうして、俺とリーダーとの地味な夏の午後の戦いが始まった。
ルールは簡単、相手にずっと意図するスタンプをひたすら送り続けるだけだ。時々、字も入って来るが、入らない方がおもしろい。
何とも意味不明なものが後には残るのだが、今はそれだけで楽しかった。
「いーやーだぁー」
オレはさっきから同じのを送り続けている。リーダーはいろいろだ。
それがおもしろい。
どんどんと、くだらないスタンプで埋め尽くされた頃、リーダーが突然、『残念なお知らせ』というスタンプを送って来た。何だろう? と思っていると雷……怒られたようだ。こうなれば、この話もなくなる。そして、誘いたいと言っていた白見さんもこの話を耳にすることなく終わるだろう。
オレはまたごろんと布団の上で向きを変え、アブラゼミが一匹、窓の網戸の所にとまっているのに気が付いた。
「メスか、メスは鳴かないから静かだな」
そう思って、オレはそのまま寝てしまった。クーラーの効いた部屋は良い。何も気にせず、ずっと居られる。




