賑やかな夜に
本当に賑やかに、賑やかに全てが過ぎて行く。
ちょっとずつ違うシャギリの音が、大勢の人の掛け声でますます活気づく。
そんな中で、立ち止まるな……と人は目で言い、去って行く。
「ちょっと、行こう」
そう言ってオレは彼女の手を取り、人があまり居ない場所まで移動した。
ここでなら、じっくり話が聞ける。
「で、いないわけだ。後ろにも前にも」
うん、気付いたら居なくて……と彼女は言う。元気がない。
「別に、白見さんが迷子にさせたわけじゃないんだから……」
あ! と気付いてしまった。
こういう状態を作る為に、わざとあいつらがしたんじゃないかと……。
「完全、迷子ッタァー!」
オレは一人、やられた……と思って、叫んでいた。
シャギリの音があって良かった……。こんな声を打ち消してくれる。
だけど、彼女には完全に聞こえただろう。
「探す?」
彼女にそう言われたけれど、オレは首を横に振った。
「電話する」
「誰に? 警察?」
「まさか、リーダーとか、電話出れば、誰でも良いや」
オレはすぐに行動した。辺りは次第に夜になろうとしていて、その中でもやっている店はあって、夏祭りに便乗して商品を販売したりしている。
まずはリーダーっと。電話をしたが出ない。次にメガネ、こっちも出ない。ロリは絶対出ない! と思ったが、掛けた。
「出た?」
「出ねーな、やっぱ」
「あとはスズユちゃんか……」
落ち込んで行く彼女に言っていた。
「大丈夫だよ、あいつなら出るから」
少し焦った。なかなか出ない。ずっと鳴り続けている電話を持っているのは恥ずかしいと思うが。
「電源切ってるのか?」
そう思ってこちらの電話を終わらせようとした時だ。
「はいはい! スズユです!」
とっても明るい声が聞こえて来た。
「どこ居んの?」
『人気がない所』
「何してんの?」
『花火』
はあ……、オレは大きな溜め息を吐いてしまった。
『ねえ、探してよ』
「はあ?」
リーダーの声になって少しビビる。
『探して、ジュース買って来て! じゃあね』
「ちょ!」
勝手に切られてしまった。
どうだった? という彼女の顔が近くにあって、オレは彼女を心配させないように言っていた。
「やっぱ、探すことになっちゃったから、一緒に来てくれる?」
「うん」
それしか返事が出来ないようにさせてしまった。
何やってんだろ、あの四人……。
オレは素直に後ろにくっ付いて来る白見さんと歩き出した。
数分もすれば、見つかるだろう……と思っていたのに、見つからなくて、もうすっかり夜になっていて、夏祭りの楽しみの一つでもある、打ち上げ花火の時間になっていた。それでもオレ達は黙々とあいつらを探して歩いていた。いや、もう探していない。会えたら、そうしよう……というくらいだった。




