夏祭りの音
暑い。そんな暑さと相まって、カンカンとしたシャギリのはっきりとした音が聞こえる。太鼓のリズムにすっと入る笛の音。
そこに悠々とイラスト部の四人がやって来た。
「やっほー」
じゃない。まったく……ロリだけ浴衣か……。
「じゃあ、そろったし、行こうか」
とてもすんなりと事が進む。それが夏祭りの良さか。
白見さんだって、普通だし。祭りをする所は歩行者天国で直進の約七百メートルだ。
屋台の物が目当て、というより、その場所で行われる山車やらが楽しませてくれる祭りということもあって、高校のある町の夏祭りよりも出ている屋台はぽつぽつとある感じだが、その夏祭りよりも少しだけ贅沢なのはどうしてだろう。
それに有名人も来る。声優さんだって来ている。皆が皆、そちらの方を向いているから、いつか迷子になるんじゃないかと危惧していた。
「妹ちゃんも連れて来れば良かったのに」
「良いんだよ、あいつは」
ぶっきらぼうにオレは言う。
「あんずちゃんだっけ?」
「そう」
「まあまあ、かわいい子だよね」
「まあ、で? どこ行く?」
オレはそんな話をする為に、ここに来たのではない。
「あ! 金魚すくい!」
やろうよ! という前にリーダーが行ってしまう。
「お、あれは……」
らくがきせんべいだ。
「色が多い!」
そこが楽しみの一つでもある。
「あ、チョコバナナ」
どれにしようかな……とスズユは選び出した。
「じゃがバター」
ロリは浴衣で走って行く。
「皆、適当に自由行動かよ!」
何の為に来たのか分からなくなる。
「ああ、ごめんね……」
リーダーが何故だか帰って来た。
「金魚持って、電車乗るのはちょっと……って思ちゃって」
とぼとぼとリーダーは歩き出す。
「白見さんも何か好きなのあったら、遠慮なく言ってね」
「うん」
彼女はそれしか言わなかった。
だらだらと歩くのは疲れる。だが、そういう歩き方をしないと前には進まない。
シャギリの音がますます激しくなって来た。人の声も聞こえる。
「そういえばさ、紺野はん、通学に電車使ってるでしょ?」
「ああ」
「大変じゃない?」
「今日のここより大変じゃない」
見物客も増えて来たし、普通に祭りを楽しみに来た人も増えて来た。
この時間はぞろぞろ、ぞろぞろと人が歩いてやって来る。どんどん、どんどん増える人、夕方のこの時間はシャギリと人とで混ざり合う。
山車に乗る人がすごいよな……とか。あんな風に笛を吹いてみたい……とか、隣になる人、なる人の感想が聞こえて来る。
その間にもリーダー達、イラスト部四人はそれぞれに楽しんでいた。
屋台の方の道はそれほど混んではいない。
だが、時間が経つに連れて歩きにくくなる。
七月にあったしとー達、クラスメイトと行った夏祭りはもっとすごかったっけ……と思い出す。
夏祭り、白見さんは楽しんでいるだろうか。
振り向く前に言われた。
「ねえ、紺野はん!」
その時の彼女の声は少し必死だった。




