表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
友達以上恋人未満ではないけれど  作者: 雲花エマ
紺野はんとイラスト部員達Ⅵ
90/145

悪巧み

 七月中旬の部室を出て、他のイラスト部員と歩くのは久しぶりな気がした。

 いつもはバイトがあるからと、すぐに帰るが今日は違った。

 暇だ。

 最近、バイトをするのを控えている。来週からはバイトをしなくなるからもっと暇になるだろう。

 アルバイトばかりでも良いのだが、それではいけない気がして、そうすることにした。これも大学受験があるからだ。勉強をしなければならない。

 しとーだって、その為に塾の夏期講習に行くと言っていたし、オレは家で勉強をしよう。

 そんな今後の事を考えながら歩いていたら、リーダーが言った。

「あ、そうだ! 夏祭り、迷子になった人は自動販売機のじゃなくて、屋台として出てるジュースを買っておごるのはどう?」

「良いね~」

 何勝手に盛り上がってる? 手影絵の声で気付いた。

「おい、それなし!」

「もう決まってしまいました~、残念!」

 リーダーは楽しそうに言う。

「それ、白見さんも入ってるんだろ?」

「入ってません! みずほちゃんはゲストなんだから。それにまだ『白見さん』って呼んでるの?」

「うっせー」

 悪態を吐く。それでしか反抗できない。

 彼女達の思い付きが凶と出るか、吉と出るか。

 分かるはずもない。

「で、夏祭り、いつ行くんだ?」

「それがね……」

 リーダーは言い難そうに言った。

「八月の隣町の夏祭りが有力かな」

「ふーん、何で隣町? まあ、オレとしてはその方が近いし、ありがたいけど」

「成績の問題」

「ですよねー」

 リーダーの話にオレしか答えない。メガネも手影絵もロリも黙ったまま、下校する。校門まで来た時にやっと「じゃ、さいなら~」なんて言って帰って行った。

 白見さんには誰かちゃんと連絡しているんだろうか? と、ふと思った。

「白見さん、か……」

 もし、白見さんと呼ばなくなったら、オレは何と呼ぶだろう。

 スズユにも言われた言葉を思い出す。

 悩んだ、正直。まだオレにはまだ、彼女は『白見さん』なんだと思った。

 いつか、しとーみたいに『白見』と呼ぶ日が来るだろうか。それとも『みずほちゃん』? いや、それはないな。きっぱり言い切れるのは何でだろう。もっと良いあだ名を付けたい。だって、彼女はオレのことを『紺野はん』と呼ぶから、それに対になる呼び方……何かないかな……なんて考えながら、オレは彼女も使う駅のホーム目指して歩き出した。この学校から駅まで約三十分。バスやら自転車やら使えば良いのだろうが、歩いている。白見さんも歩きなんだよな……なんて思い、一人笑ってしまった。

 彼女が歩くのは少しでも遅く学校に行く為だろうか、オレは運動の為だけど。

 おじいちゃんみたいな考えだと、ふと思ってしまった。

 そのくらいになった時、オレの隣には誰が居るんだろう。とぼとぼと蒸し暑いまだ明るい夕方の夏の時間を歩く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ