学校の噂
紫桃君があの雨の放課後、帰った子って……。
そうだよ、隣のクラスのさ……。
やっぱり、そうだよね、安心した。
*
勝手な事ばかり言いやがって。それもあいつの目をわざと見て、俺と見比べて、クスクス笑う。低能どもめ。
それでも彼女はそんなの気にしてないという風に、何故か笑っているように見えたんだ。こんな六月の終わりに、夏服になっても蒸し暑い中、永遠と続くその噂の中。
笑う理由が分からない。
また俺だけが仲間外れなのか……。赤根に聞いても理由が分からなかったし、紺野に聞いても分からなかった。モヤモヤする。
本人に直接聞けば? と紺野に言われたけど、何だかそれはしてはいけないような気がした。
それは白見が一人で頑張っているように思えたから。
――何なんだよ、あの日帰ったのが俺だったら、こんな噂にはなってない。
俺だったら、もっと、もっと!
もっと、白見のことを大事にする。触れたくて、触れ過ぎて、ぐちゃぐちゃになったって良いじゃないか。
人間ってのは、生きている間にしか、大事な事出来ないんだから。死んだら、もう生きてる奴の隣に立って見るしか出来なくなる。自分の思いを一方的に伝えるしかできなくて、それでも生きようとする。在り続けようとする。
それがいけないことだって、物分かりの良い死に方をしたら皆、夢にだって出て来ないだろう。俺はそうやってる死人みたいな人生は嫌だ。
なのに、また。俺は同じ道しか進めないのかもしれない。




