見る人、聞く人
入った途端、彼女は言った。
「すごいんだね! 皆、上手!」
「まあね、イラスト部だからね」
彼女はきょろきょろと見ながら言う。
「紺野はんのイラストもこの中にあるんだよね?」
「うん、隣の教室にもあるよ」
「へー、この教室以外にもあるんだ」
彼女の顔が一瞬でキラキラし出した。
「白見さんってこういう絵、好き?」
「うん、でもちょっと苦手かな……。でも、こういう絵は好き」
それはオレがコピックで描いた『カラフル』がテーマのイラストだ。
「それちょっと評判悪かったんだよね。派手じゃないからって」
「でも、こういう落ち着いたの、好きだよ。私」
「そうか……、そう言ってもらえて嬉しいよ」
まあ、買う気ないし。良いか。
「白見さん、誕生日いつ?」
「九月一日だけど、何で?」
「まあ、覚えておこうかなって」
「ふーん、そうなんだ……」
興味がない彼女で本当に良かった。
「テーマごとに分かれて展示されているんだね」
「そうだね」
ふーん、と言いながら見て行く。
「あ、もう大丈夫だよ。私、一人で見れるから」
「そうだよね、ごめんね。あっちの教室行ってるよ」
「うん、ありがとう」
何故かお礼を言われた。彼女が気遣っていたのだと気付いて、オレは歩いていた足を止め、彼女の様子を見ていた。
ただ黙ってじっくりとその絵を見続けるだけだった。
*
彼女が全てのイラストを見終わった頃、今まで描いて来たノルマ達は売られる為にどんどん外されて行く。これからどのくらいの値段が付いて買われて行くだろう。それは誰にも分からない。




