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友達以上恋人未満ではないけれど  作者: 雲花エマ
紺野はんとイラスト部員達Ⅲ
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彼女は一人

 四月からずっとこの日の為だけに部活はあったものだ。

 来る日も来る日も、白いイラストボードに絵を描いた。

 文化祭、それは文化部が日頃の成果を見せる日だとかいうけれど、このイラスト部としては違った。

 部費を少しでも稼ぐ日だった。だから、こうやって決められたテーマに沿って絵を描く。人それぞれに表現方法は違う。コピックを使ったり、色鉛筆を使ったり。一人何枚というノルマを達成すべく、来る日も来る日もお喋りをしながらも書き続けたのだ。だから、白見さんと遊びたいね……という話になっても彼女を誘うわけにはいかなかった。そんな暇はない。

 描き終ったら、その次……と描いても、描いても終わらない日々。だが、それも今日で終わりだ。

 今年のテーマは四つ。『くま』、『海』、『カラフル』、『ドライ』で、その中でも『くま』は、『クズ人間』というマンガの主人公、熊タローからで、動物のクマでも、ぬいぐるみのクマでもキャラクターのクマでも、擬人化のクマでも、自分が思う『くま』なら何でも良いというやつで、それは他の三つのテーマにも当てはまり、全てのテーマをやらなくても良い。自分が好きなテーマでノルマをどうにかするのだ。

 そして、文化祭当日。良く晴れた日、十三時半。あと三十分すれば、イラスト部の部費集めの為の販売が開始されるという時、廊下で一人の白見さんを発見した。

「白見さん」

「紺野はん」

 彼女はびっくりしながらも答えた。何だか笑ってしまう。いや、微笑むだ。

「どうしたの? 一人?」

「うーん、一人ではないんだけど、ちょっと待ってて」

「そう」

 彼女は少し恥ずかしそうにした。何故だろう。

「しとーに会いに来たの?」

「え?」

「いや、そわそわしてるから」

「そうかな? そんな気はないんだけど」

 彼女はそう言ってから急にそわそわし始めた。

「ぷぷ、しとーならさっき別れて適当に歩くって言ってたから探してみたら?」

「そうなんだろうけど、一人じゃないし……」

 ちらっと女子トイレを見て、イラスト部の方を見た。

「絵、見ても良い?」

 考えていることが分かる。

「良いけど、お友達は?」

「大丈夫だと思う。そのくらいの時間はあるから」

 彼女はそう言って、部室に入った。

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