彼女の実情
最近は買い弁を忘れてない時も来ている。だから、彼女達が楽しくお喋りしていても気にせず、食べている。だが、今日は赤根が休みで、一人だと言っていたから来た。
少しずつ、昼休み前に話す機会が増えている。これは良い事ではないか、そう思って今日も白見の話を黙って聞く。
今日の白見は久しぶりの赤根の休みで軽く弱気になっていた。だから、こんな話をしているのだろう。
*
何故、こんな話をするのか。それしか話すことがないからだ。
それによって、自分の気持ちを分かってもらおう……なんてことはない。
ただ、聞いて来るから話しているだけ。
もし、紫桃くんが楽しい話をしてくれたら、それをずっと黙って聞いていたい。
その方が絶対、楽しいから。でも、彼は気付いてくれない。だから、こんなつまらない話をするんだ。
*
病院とかにも行ってない。行かなくても大丈夫だから。薬飲まなくても耐えられる――そこまで無理することもないだろうに、白見は頑張ってお弁当を食べ終わった。そして、弁当箱を片付けながら、また話し出した。
「それにね、この学校は良いよ。いじめ、ないから、表面上は」
こちらの方が落ち込んでしまう。
「別に痩せ我慢とかしてるわけではないの。本当、今までの中で言ったら、一番マシ」
少しすっきりしたように彼女は言った。そういう時の彼女は強い。
「白見は頑張ってるよ」
「普通だよ、これは。普通の人が普通にしてること。私だけがこんなんじゃない。解かってるんだ。自分から行かなくちゃいけないこと。でも、できない。だから、弱いんだよね」
彼女は今まであったその気持ちを吐露していた。
*
それに応えるように彼は言った。
「白見、来れば良いだろ、文化祭」
彼が何故だか先生のように思えた。きっと心配してくれているからだ。
私は少し勇気を出して言ってみた。
「紫桃くんは将来、何になりたい?」
彼は困っていたけれど、答えてくれた。
「うーん、楽な仕事かな」
そんなものは世の中にない気がしたけど、楽天的で良いかもしれないと思った。




