初めての地
新幹線の席を元に戻して、降りる為の準備をして目的の駅に降り、そのまま地下鉄でよくテレビで見ていた場所へと向かった。
いろんな「あ、これ見たことある!」があった。これが観光なのか……。
そう思って、ちらっと紫桃くんを見てしまった。というか、目が合ったというか、笑っていた。それは私のせいではなく、紺野はんが笑わせていたからだ。楽しそうな話がちらちらとこちらの耳にも届いて来る。
その話に加わりたい、とかは思うことなく、見る。
その二人の光景がとても自然で友達とはこういう感じなのかと思えてくる。それはこの景色と同じだ。実際に見ればそれはとてつもなく普通で、テレビで見ていたのとは違って、ああ、そうなのか……と思えてくる。
一通り見終えて、適当に昼食をとってまた地下鉄に乗り、今度こそ本当に行きたかった場所、誰もまだ行ったことがない場所に向かった。
*
白見は赤根と楽しそうにお喋りをしていた。まずまずのようだ、今のところ。
「何、見てんの? しとー」
「いや、別に」
「あ、白見さん、かわいい……とか思ってるんじゃ」
「違う、ずっと俺達の後ろだから心配で」
「ふーん、だったら一緒に歩く? 白見さんと」
「何でそうなるんだよ? 違うだろ、どう見ても、俺と白見は一緒に歩かない方が良い」
「うーん、確かにね。そんな心だったら歩かない方が良いんじゃない? 赤根さんの方がとってもお似合い」
「そんな話をしたくないんだが」
「そうだね、で、今度こそ本当に行くんでしょ、オレが決めた場所!」
ニカリ! と紺野は笑った。楽しんでる、こいつはいつも自由な奴だ。
*
また乗り換えて電車に乗って、今度こそ本当に行きたかった場所に着いた。
「おお! ここがホテル!」
「いや、赤根、ホテルで驚くなよ」
「だって、こんな建物、地元にはないし、驚くしかないよね、これ」
「うん、そうだね」
白見はいつものように赤根の話に乗っかった。
「白見、赤根に付き合わなくても良いんだぞ? 本当に言いたいことを言えば」
「うん、分かってる。でも、本当にそう思って。駅からも近いし、すごいな……って」
「大きいもんね、この建物」
「うん、そう」
紺野の話でこの話は終わった。
「じゃ、俺、向こう行って来るから」
「一緒に行くよ」
なんか今日はずっと赤根と一緒に行動することが多い。
*
「あ……」
「ちょっと遅かったね、まあ、気付いたんだろうね、赤根さんは。チェックインだから少し時間かかるかもね。何か飲む?」
「あ、買って来るよ。私」
すぐに近場にあった自動販売機に向かった。
当たり前だ、私達と紫桃くん達の部屋は違う。だから、必要だったのに。アカネちゃんの方が早かった。ぼーっとしている。頭だけ動いてない。
「あ、押し間違えた」
飲めない物を選んでしまった。炭酸は小さい時から飲んでこなかったから飲み慣れていない。それだけで苦手になってしまった。
「何買ったの?」
背後からの紺野はんの声に反応して、紺野はんに頼まれた炭酸と押し間違えて出て来てしまった炭酸を紺野はんに見せながら言った。
「えっと……」
「炭酸か、白見さん飲めるの?」
「え?」
びっくりしてしまった。
「だって、そんな顔してたら、誰だってそう思うよ」
深刻さが出てしまってるってこと? それなら!
「大丈夫。こうやって振れば!」
かなりの勢いで振っていた。
「振り過ぎるのはちょっと……」
「え?」
缶を開けてしまっていた。
見る間にヤバイのが溢れて来て――、紺野はんに多大なるご迷惑をかけてしまい、大変申し訳なく思った。




