三人
あと何駅で着くだろう。
新幹線の窓からはいろんな景色が見えている。
田舎になったり、都会になったり、いろいろだ。
その場所で暮らしたら、どんな私になれただろう。
そう思うと少しおかしくなった。そうならないって決まっているのに。
そんな微笑が紺野はんに見えてしまったのか、紺野はんの声が聞こえた。
「白見さん」
「はい!」
「白見さんも食べる?」
そう言って渡してくれたのは個包装の飴だった。
「ありがとう」
「イチゴ味のやつだけど大丈夫?」
「うん、食べ物の好き嫌いはあまりないから」
袋を開けようとするとその前に! という感じでアカネちゃんがずいっと目の前に何本ものポッキーが入った袋を出して来た。
「食べる?」
「あ、ありがとう、アカネちゃん」
そう言って一本もらった。
ピンク色だったから、イチゴ味だ。
「新幹線に乗る前に買って来たの」
アカネちゃんは何故か微笑んでいた。何か嬉しい事でもあったのかなと考えていると、紺野はんがアカネちゃんの持っているポッキーの袋を見ながら言った。
「オレにもちょうだい、赤根さん」
とてもフランクで、クラスでの紺野はんだ。アカネちゃんはちょっと戸惑っていたけど、仕方なしに紺野はんにそのポッキーの入っている袋を差し出した。
「ありがとう、赤根さん」
彼は素直に笑っていた。
*
新幹線のトイレから戻ると、白見、紺野、赤根が仲良くお菓子のやり取りをしていた。何だか戻りにくい。そうしたのはたぶん紺野なんだろうけど、白見がそれ以上関わることなくほっとした。じっと見ていたわけでもないのに、俺の存在に気付いたのはやっぱり紺野だった。
「おう、どうぞ、どうぞ」
すまないな……という感覚で自分の席に座る。
「あと、どのくらいで着くの? 紫桃君」
「知らないよ、だけど、時間的にもうすぐなんだよな……」
「このまま何もなければ昼でしょ?」
「そうだけど」
「じゃあ、何食べるか決めよう、白見さんは何が良い?」
「えっと、私は……」
何だか白見が普通に答えようとしている。それは良い事なのかもしれないが、俺にとってはあまり良いものではなかった。




