冬休み前に
期末テストが終わった。十二月中旬には終業式がある。その前に話しておきたくてまた開き教室を訪れた。彼女はいつものように赤根と一緒に居る。
「あ、紫桃くん」
いつもは赤根が言うはずのその言葉を白見が言った。それだけで何故か嬉しくなる。
「何やってんだ? 二人して」
「年賀状だよ」
赤根が答えた。ふうん、だから二人してメモ帳に住所を書いてるわけだ。
この流れなら、白見の方から誘って来るかと思ったが、そうはならなかった。
「白見」
「何?」
ギクッとしたように白見は言った。
「俺も」
「あのね! 止めて! 紫桃くんには年賀状、送ってほしくない」
きっぱりとした拒絶。
「どうして」
自然と口から出ていた。
「それに答える理由が要る?」
赤根は何も言わなかった。
「出したいなら、メールにして」
白見はそれだけ言った。
「何で、メール? まあ、良いけど」
分からないかなぁ……というように赤根が俺を見て来る。
「お母さん、過保護なの。だから、今までなかったようなことがあると大変なの」
深刻そうに言う。だが、そこに『過保護』が必要なのか、それよりも。
「俺、白見の知らないから教えてくれる?」
「あ、そうだったね、うん、良いよ」
すんなりと彼女はスマホを出して来た。
これが二人の企みなら、あれだったが、そうではないらしい。自然な流れだ。
「これで無料で出来るようになったね」
「うん、そうだね」
満面の笑顔で白見は赤根に言った。それはいろんな人がしていることじゃないのかと思った。だって、これガラケーでも出来るだろ……。そう思いながら俺もスマホを机の上に置く。
赤根もしたそうな顔をしたが、何も言わなかった。
「赤根もか?」
「うん、紫桃君が良いならね」
何だか上からだ。ちょっと考えてそうすることにした。
赤根には忘れても文句を言われても構わないが、白見にはちゃんと出そうと、この時思った。




