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友達以上恋人未満ではないけれど  作者: 雲花エマ
修学旅行
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高校最後の合唱コンクール

 欲しい本があったわけでもないのに近所の書店に来た。

 何となく旅行の本を見てしまう。行きもしないのに、もうすぐ修学旅行だと思う。

 十月中旬にあった中間試験も終わり、修学旅行前にある高校最後の合唱コンクールに皆は集中している。私だけ集中してない。

 クラスの女子の人に「ピアノ弾ける?」ときつく言われた。私は断る為の首を振るのが精一杯だった。

 カノジョは庇いたかったのだ、何もしない私より、クラスの為に尽くす友達を出したくなかったのだ。

 少しでもそういう練習の時間を作らせないようにしたのかもしれない。

 それでなくともカノジョはきつい性格だ。慌ててその友達は言っていた。「いいの、いいの、私は合唱部だし、弾けそうにないじゃない。それに紫桃君が指揮ならもっとだったけど、私のピアノで紫桃君が歌ってくれると思うと――、きゃー!」盛り上がるのは頭の中だけにしてほしい。

 彼の名前が出て来たことによって、私はぼんやりと思い始めていた。

 紫桃くんはクラスでもモテるんだな……。その場に紫桃くんが居たけれど、教室の誰もがそのことに触れず、和気あいあいと次に移って行った。

 一応は居る人間として扱ってくれたのだと思って、私も極力、目立たないように歌声を響かせる。

 紫桃くんの目が気になったけれど、パートを別れての練習でこの音、高過ぎて出ない! とか騒ぐ人がいたけれど、だったら、ソプラノなんて止めて、アルトに行けば良いのだ。紫桃くんはテノールで歌っていた。


 *


 紺野もテノールだった。何よりもあの行事嫌いな白見が歌っているのに驚いた。

 何とかしてソプラノパートから白見の歌声を聞き出そうとしたが無理だった。そこまでのやる気はないらしい。

 白見が俺と同じソロだったらすぐに分かったのに。もう一人居た合唱部の女子がそのソロを上手く歌うから、俺もそこまでの力を出さなければならなかった。


 *


 彼がテノールだったのは偶然だったけど、その中で歌が上手かったから、彼は皆に決められて歌い出しのソロを歌っていた。

 優勝を狙うくらいに練習を頑張っていた。

 部活をしているくらいの熱さがあった。


 結果は全体で二位だったけど、僅差で、悔しがったりして騒いでいた。


 *


 またいつもの日課が続いて行くようになった。

 久しぶりに空き教室に来た紫桃くんが私に聞いて来た。

「白見は歌、何で歌ったんだ?」

「歌は嫌いじゃないから」

「そっか……」

 彼はソロで歌った声と同じように優しくそう言ってた。

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