白見瑞穂の過去
「昔はね、私もイジメられてなかった。というか、何もないまま浮いてて、クラスに置いてけぼり、皆と仲良くが出来ない子だったから。それでもね、友達は居たよ。二人くらい、何とか頑張ってたんだけど、そのうちね、そのうちの一人がイジメに遭った。それは段々私の方にも来て、でも、その子の方が重かったな。どうすれば救えるのか、考えた結果、紫桃くんと同じようにその子の盾となるようにずっと一緒に居る友達になった。でも、その子的には私よりも気に入った友達が居たんだろうね。無理に居ようとすると離れて行った。だから、追いかけた。そうしないとすぐにその子がイジメられるから。それをずっと繰り返してたら面白くなくなったのか、イジメはなくなって無視されるようになった。でも、それが逆に良かった。無視ほど良いイジメはないよ。嫌そうな目で見られるのが辛かったけど」
淡々と続ける。苦しくないのだろうか。
「中学でその友達とも離れた。新しい友達も出来たけど、やっぱり仲良くなれなくて、その友達に戻ちゃった。それがいけなかったのかな……、名前でまたイジメられるようになった。誰かが小学生の時の事を言ったんだろうね、私は泣きもしなかったし、わめきもしなかったから、エスカレートして行った。ただ耐えてただけ。もう一人居た友達はイジメる側というか、見て見ぬふりの周りの人間になってた。だから、聞いたの。『どうしてそっち側なの?』って、そしたら答えてくれた。忠告されたんだって、その子と一緒に居ると……ってやつ」
白見は笑っていた。
「それを聞いて私は驚いた。当然だよね。そんなこと言ってくれる友達は私にはいなかったんだもの」
落ち込んだ。また無の表情のない声になった。
「私はね、忠告されなかった。最初からその子と一緒に行動する子になってたんだね。その友達の方が普通で私はその子よりも劣っていたんだ。救われる価値もない人生なら、少しくらい役に立って死にたいから、『ありがとう』なんて望まないから、気付かれない盾のまま、その子の盾であり続けたの。でもね、その子ね、忘れてた。イジメられてたこと、良い事なんだろうけど、私の努力は無に等しかった。私よりも別の友達と今は一緒に居るよ。違う高校だし、しょうがないんだろうけど」
悲しくないのだろうか。
「紫桃くんはきっと見て見ぬの人だから、つまらない話だったでしょ?」
白見は笑っていた、どうして笑えるのか、俺には理解出来ない。過去の話だから、吹っ切れているから笑えるのか。
「紫桃くんには、そうならないでほしい。だから、一緒にいないんだろうけど」
真実だ。それ以上の言葉もなく、俺は立ち上がっていた。何にも関わらない人にはなれなかった。




