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書店のお兄さん
今日もお兄さんは居る。
お兄さんはとても大らかそうな人で、私はいつもお兄さんのお客として最後になるのが多い。それはお兄さんがそわそわし出すからだ。時間的な問題もあるのだろうか。
「大丈夫?」
その日もそう言われた。レジの方に行くとそうだ。
顔色が悪いとか、そういうことじゃなくて、いつもぼーっとしているからだろうか。
「大丈夫です」
それだけははっきり言える。言い慣れているからだろうか。お兄さんがこちらをまだ見ていたから、私は店を出た。何も買わないのに居るのは良くない気がしたからだ。お兄さんはゆっくりしてっても良いんだよ? という顔をしたけれど、こんなに心配されるほど私はお兄さんと親しくないから、とぼとぼ歩き出す。雨が降り出しそうな空だった。




