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十月初め
球技大会も終わり、全員が冬服になる頃だ。
ん? という顔になる。
赤根が何故か、空き教室に一人居た。
「白見は?」
「おトイレ、長いおトイレ」
そんなことまでは聞いていない。
「赤根は修学旅行、行くか?」
「行かないよ」
当たり前じゃない、と赤根は言った。
「無理をしても体調が崩れるだけだしね、ましてや海外。何が起こるか分からんですしな」
赤根は変な所に気を使う。
「でも、紫桃君には行ってほしいと思ってるよ。瑞穂ちゃん、言ってたもの。冗談で親に言ったら悲しそうにされたって。少しでも明るくしようとしたら、間違っちゃったって。親のお金で行けるほど甘くはないって。本当にそうだよね」
赤根はそう言って弁当を広げ出した。
でも、食べなかった。白見が来るまでは食べないらしい。




