出迎え
昨日は行事がない普通の日だったのに休んでしまった。それは高校生活の中で初めての事だった。
ぼんやりと朝の電車を待つ。いつもなら、誰も居ないような駅のホームに何故だか、紫桃くんが居た。
「白見」
ここは紫桃くんの駅ではない。アカネちゃんに聞いたのだろうか。でなければ、彼がここに居るはずがない。
「学校行くのか?」
「うん」
紫桃くんの番のはずなのに、彼は何も言わなかった。
ただ黙って、当たり前だけど同じ通学路を歩いた。
少し早い朝だったから、まだ誰もいなかった。
紫桃くんはやっと話すことが決まったみたいに話しかけて来た。
「白見が修学旅行行きたくない理由は何となく分かる。でも、本当は行きたいんじゃないのか?」
「……、でも、言っちゃったから。もう、無理だよ。班決めだって揉めてたでしょ。私はそれでも行こうとして良いのかな? って思った」
*
「行事以外は休んでなかったのに、授業分からなくなっちゃうな……」
「授業出るのは平気なのか?」
「うん、皆は教壇の真ん前なんて嫌だって言うけれど、私からしたらそこは天国だよ。周りの人の顔見なくて良いんだから」
本当に言っていて、白見がかわいそうになって来た。
「あ、でも、一学期の芸術鑑賞とか、清掃ボランティアはちゃんとやったよ」
その行事だけ何で? と思った。
「顔見られないからね」
そんな理由だろう。
「白見、ごめん」
「良いよ、もう」
悔いがなければ、間違った選択じゃない。けれど、どうしようもない気持ちだ。




