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布団の中で
十月初旬、風邪を引いたのか熱が出て、学校を休んだ。
そんな俺にマスクをつけた紺野が宿題を持って、家にやって来た。
「お見舞い?」
そう言って、彼は宿題のプリントを俺の部屋の机に置く。
「白見さんが良かった?」
「は? 何で白見が出て来るんだよ」
「いやぁ、その方が良かったのかな……って」
紺野はそう言いながら、俺の部屋を物色する。
「何にもないぞ?」
「分かってるって」
そう言って紺野は俺の顔を見た。
「まあまあ、元気そうで安心した。風邪うつされないようにマスクして来たんだけど」
「そこまでするなら来るなよ」
「でもね、白見さんが心配そうだったから」
そう言われると、そんな風な白見を想像してしまう。
「まあ、口には言ってないけど、そんな表情だったからさ。この目で見て安心させてあげようかな……って」
「友達思いだな」
「そうかな?」
紺野はそれっきり白見について言わずに帰った。
本当のところ、紺野ではなく、白見だったら……と一瞬、思ってしまった自分がいた。
そうすれば、あの空き教室以上に喋れると思った。
でも、彼女は絶対そうしない。絶対に。
それが分かったから俺は寝た。
紺野が持って来た宿題は元気になったらやろう。そう思った。




