表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
友達以上恋人未満ではないけれど  作者: 雲花エマ
分からせる為に
107/145

誕生日プレゼント

 紺野はんにもらった絵には、ハッピーバースデーという字に赤いイチゴの丸い白いケーキ、あの日見た七夕の飾りのような煌く色鮮やかなテープ、リボンのつけられたプレゼント、その場を華やかにする花と風船……、今まで行った場所や思い出がポップに描かれていた。

 彼はその絵について何も説明してくれなかったけど、分かった。

 これは全部紫桃くんが絡んでいる。この絵の存在は紫桃くんに言ってないはずなのに。

 彼は言った。

 気が変わったか? と。変わるわけがない。だって、私はもう、進んでしまったんだ。思いをあきらめたら、また言って良いのかな。好きでしたって。希望のない言葉に何の意味があるんだろう。

「あと、それとは別にこっちはイラスト部から」

 そう言って渡されたイラストボードの絵には、あの夏祭りの日のことが柔らかく描かれていた。

「何か、これ描いてたらさ、皆描きたいって言って」

「そうなるように、そこで描いたんじゃなくて?」

「違うよ、家で描きたくなくて、そっちは。まあ、もう部活も行かなくなるからね。最後の思い出? みたいな」

 そう言って笑う彼の顔は、ちょっとわざとらしく見えた。

「紺野はん、ありがとう。大事にするね。皆にも後でメールする」

「うん、それが良いよ。誕生日おめでとう」

「ありがとう」

 どんな笑顔になったのか、自分では分からない。でも、穏やかな、滑らかなクリームみたいにとろっとしていたに違いない。この気持ちを紫桃くんはさせてくれない。きっと、どろっとした味のきついチェリーパイみたいになるんだ。

「紺野はん、電車」

「うん」

 そう言って、二人で立ち上がって、同じ電車、同じ車両に乗る。

 そして、口当たりの良い会話をして別れる。それが今の私の理想だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ