104/145
駅のホームで
何にもなくて、椅子に座って待っていた。一分前に来ていれば、この前の電車で帰れたのに、運がない。そのおかげか、人が全然居ないけど。
そんなオレに近付いて来る足音が聞こえた。とぼとぼと、彼女だ。見てしまったら、彼女は甘えて来るだろう。
「紺野はん……」
「頑張れってしか言えないけど」
「分かってる」
彼女はそれだけ言って、オレの隣に座った。何も言わない。
「絵、さ……」
「何? できなかった? やっぱり?」
笑った。どことなく悲しそうな声がした。
「できたけど、いつ渡す?」
そんなの聞かないで、って言われそうだけど言ってしまった。
「この時間が良い」
彼女はそう言った。
「そうか、分かった。明日も同じ時間で待ってる」
「うん、待ってて」
彼女はそう言って、立ち上がった。夕焼けが沁みる。
他のクラスの生徒がやって来た。
彼女は自然とオレから離れて違う車両になるように歩く。
それを追いかけるのは明日にしよう。今はじっとここに居よう。




