久しぶりのカノジョ
今までして来たことを急に止めるということはなかなかできない。だから、あの日が来るまでちょいちょい行っていた空き教室に行こうとしていた。
だけど、呼び止められた。
赤根だ。
階段の踊り場で久しぶりに見る彼女は髪を切っていて、短くはなっていたが、二つにしている。
「何だよ?」
「瑞穂ちゃんは?」
「居ないから行こうとしてるんだろ」
「そうだよね、うん、分かった。明日にする」
「何がだよ?」
「たぶん今日は空き教室来ないよ。きっと家に行ったね!」
「何で分かる?」
「だって、本を貸したから。だから、早く家に帰って、その本が読みたくてウズウズしてるに決まってるよ!」
どんだけ読ませたいんだ、その本。
少し呆れつつ、俺は階段を下り始めた。
「どこ行くの? 紫桃君」
「帰るんだよ」
「何で?」
「だって、そう言うからじゃん」
「信じちゃうんだ」
何だよ? こいつ。
「悪いのか?」
「いや、良いんだけどね」
赤根はそう言って、俺と同じように階段を下り始めて言った。
「あの噂は大変だね」
「あ? 何だよ?」
「隣のクラスの女子と~ってやつ」
「何で知って……」
「だって、有名だよ? 紫桃君は紫桃君が思っている以上に、この学校の人気者なんだよ? こっちの方にも話が来るよ」
そう言ってカノジョは俺を見た。
「まあ、頑張ろうよ、受験もそういうことも」
カノジョは明るく言ってくれる。
「ああ、そうだな」
俺は沈んでいく気持ちを抑えて、そう言った。




