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こちらを見る目
朝から騒がしかった。二学期最初の日。いつも通り先生が来るまで自分の席で読書をしていたら、聞き覚えのある声が聞こえて来た。
紫桃くんと紺野はん!
何だかどきどきする。知った人達だけど知らない人、そんなのたくさん周りに居るのに。
知らない人にはならないらしい。もう、字を読む目が止まった。だけど、読んでるようにしなくては、見たくない。見てしまったらもう、終わりだ。
視線も感じる。ずっと感じるのは紫桃くんのものだけど、それとは違うのも感じる。誰だろう。
ふと、目を周りに向ける。ちょっとだけ目が合ったのは、教室に入って来た女子だった。だから、慌てて目を本に戻す。だって、そうすれば彼女の方が気のせいだって思ってくれると思うから。ずっと見続けていたら、きっと紺野はんの方を見てしまう。
彼を見れなくて。
また紺野はんの声が聞こえた。その声で開いていた窓が全部閉められ、涼しい風が少しずつ強くなる。また今日が始まる。




